【特集】四半期決算発表時に独自材料で業績を上方修正した銘柄と逆風下で設備投資を推進した銘柄に注目

今週の当特集では、補助線候補としてアナログ的にユニークでビジュアル系の個別材料を内包する小型株に注目することとした。一つは、やや旧聞に属するが、今年1月末以来の四半期決算発表時に独自材料で業績を上方修正した銘柄で、もう一つはコロナ禍が続く逆風下で意欲的な設備投資を推進した銘柄である。このほとんどが、1部半的な小型株や東証第2部銘柄や新興市場株などで占められ、投資採算的にもなお割安水準にある銘柄も多く、全般「E字型」相場のなかで新補助線銘柄として存在感を発揮する展開も想定される。

■獣害対策用防護柵や医療キャスター、ペーパータオルなどが業績押し上げ

シンプルでアナログでビジュアルな要因で今2021年3月期業績を上方修正した銘柄の代表とも位置付けられるのは、トーアミ<5973>(東2)だろう。獣害対策用の防護柵の販売増を要因の一つに上げている。街中に猪、熊などが出没したびたびテレビニュースで大きく取り上げられるが、その獣害対策製品である。株価は、この業績修正で71円高し昨年来高値599円に迫ったが、PERは12倍台、PBRは0.31倍の評価にしか過ぎない。続いて主力製品のワイヤーメッシュの敷込工事でも施工建設会社を連結子会社化しており、来期業績への期待も高まる。

同様に独自の上方修正要因を挙げた値ごろ割安小型株は、医療キャスターのナンシン<7399>(JQS)、ペット専門店の新規出店のキムラ<7461>(JQS)と続く。また株価が4ケタ台の小型割安株をコード番号順に列挙するとペーパータオルの特種東海製紙<3708>(東1)、除雪用品の浅香工業<5962>(東2)、非接触の自動水栓のSANEI<6230>(東2)、米国の庭整備需要の竹内製作所<6432>(東1)、空気循環式紫外線清浄機の岩崎電気<6924>(東1)、ゴルフ・アウトドア用品のヒマラヤ<7514>(東1)、ガーデニングのタカショー<7590>(東1)となる。ダイワボウホールディングス<3107>(東1)、ウチダエスコ<4699>(JQS)、内田洋行<8057>(東1)は、児童一人に情報端末1台を整備する「GIGAスクルール構想」の補正予算執行により業績を上方修正した。

■カニかま工場、強力吸引作業車工場、新支店の建設などをテコに高値追い

一方、目立った設備投資計画を開示した小型株は、コード番号順に列挙すると皿うどん工場のヒガシマル<2058>(福)、ドレッシング・パスタソース工場のピエトロ<2818>(東1)、カニかま新工場の一正蒲鉾<2904>(東1)、フィリピンの海底ケーブル海洋調査のアイ・ピー・エス<4390>(東1)、新型コロナウイルスワクチンの原液工場のJCRファーマ<4552>(東1)、強力吸引作業車・高圧洗浄車の新工場の兼松エンジニアリング<6402>(東2)、インド子会社の生産設備増強の日精エー・エス・ピー機械<6284>(東1)、新店舗・敦賀支店建設の今村証券<7175>(JQS)、老朽化工場の建て替えのセーラー万年筆<7992>(東2)などとなる。

多くの銘柄が、業績上方修正や増配を伴い足元で昨年来高値追いとなり、投資採算的には市場平均を上回っているが、積極的な設備投資による来期、来々期業績の寄与度期待が上値チャレンジをサポートしよう。

【関連記事情報】
【どう見るこの相場】「K字型」相場はさらに複線化?!アナログ的・ビジュアル系の小型株に補助線投資余地

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る