【どう見るこの相場】「K字型」相場はさらに複線化?!アナログ的・ビジュアル系の小型株に補助線投資余地

どう見るこの相場

最近のトレンドは、格差拡大や勝ち組・負け組化などの二極化現象を「K字型」と呼ぶようである。アルファベットの「K」の横線2本の傾きが、富裕層がますます富み、貧困層がますます困窮し、競争優位企業が競争劣位を駆逐する方向性をビジュアル化するからだろう。

株式市場も、つい最近の3月17日までは、この「K字型」相場であった。グロース株(成長株)とバリュー(割安株)、ハイテク株と景気敏感株の高安が、日替わりメニューのように真逆に動いていたからだ。米国の10年物国債の金利上昇とともにグロース株は割高として売られ、景気敏感株は金利上昇は景気回復を先取りするものとして買われ、金利上昇が一服するとこの巻き戻しが起こってグロース株買いの景気敏感株売りと人気交代となった。

ところが前週に相次いだ日米の中央銀行の金融政策決定会合を境に、この「K字型」相場に変化が兆しようだ。今度は、「K」に横の補助線をもう一本加えた横線3本のアルファベットの「E」ともビジュアル化できる「E字型」相場である。この新補助線は金利敏感株で、代表の銀行株は、グロース株、景気敏感株が、ともに米国の10年物国債利回りが1.75%と1年2カ月ぶりの高金利水準になって急落するなかひとり逆行高したからだ。東京市場でも前週18日、19日に銀行株が軒並み高、19日には日経平均株価が、424円安と急反落するなか、銀行株は、日銀の金利変動幅の拡大決定により利ザヤが改善するとしてメガバンクを含め31行が昨年来高値を更新した。

「E字型」相場は、相場そのものの手詰まり感か、それとも補助線がドンドン引かれて4本、5本と拡大する複線化相場の余地があることのどちらを反映しているのかよく見極める必要がある。そしてもし複線化相場の発展形が想定されるならば、ここはほぼ中学受験の幾何の平面図形問題の応用が、投資テクニックとして最適解となるはずだ。平面図形問題では、平面に補助線を正しく引いて証明するが、同様に上場会社のすべてに補助線を引いてこの補助線上に浮上す銘柄に狙いを定めるのである。

この新補助線銘柄は、あるいは今年3月16日から再開された新規株式公開(IPO)株になる可能性もあるが、しかし残念なことに、東証マザーズ指数が、グロース株売りのトバッチリで今年3月につけた年初来安値からなかなか戻り切らない制約がある。そこで今週の当特集では、補助線候補としてアナログ的にユニークでビジュアル系の個別材料を内包する小型株に注目することとした。

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