【編集長の視点】RS Technologiesは工場増設・新工場稼働開始で来期の純利益3倍増を先取りして反発

編集長の視点

RS Technologies<3445>(東マ)は、20円高の2470円と反発して始まり、今年5月25日につけた上場来高値2700円を視界に入れている。

同社は、三本木工場(宮城県大崎市)の新製造ライン増設と台南新工場(台湾台南市)の建設を進めているが、台南工場が7月に生産開始すると、今年12月の再生シリコンウエーハの生産能力が、約86%増とアップすることから、来2016年12月期純利益が、3倍増とV字回復することを先取り直近IPO(新規株式公開)株人気が再燃している。今年5月14日に発表したIPO後の初決算となる今2015年12月期第1四半期(1Q)業績が、四半期決算として過去最高で着地し、今年3月のIPO時予想の今期第2四半期(2Q)累計業績に対して高利益進捗率を示したことも見直されている。

■工場増設・新設で今年12月末の月産能力は26万枚と86%増

同社は、シリコンウエーハの再生事業を主力事業としており、同ウエーハ市場が、スマートフォンやタブレット端末の市場拡大により半導体業界向け需要を伸ばしていることに対応し、三本木工場には最新鋭の設備を備えた工場を増設し、台湾では工場を取得し改装工事中である。両工場の立ち上げはやや計画より後ズレしているが、三本木工場は、今期2Qから売り上げに寄与し、台南工場も7月から生産開始が予定されている。両工場の稼働で、今年12月末の300ミリウエーハの月産能力は26万枚となり、昨年12月末の14万枚から約86%のアップとなる。

ただ今2015年12月期業績は、製造設備の移設に伴う一時的支出や新規設備投資の減価償却費負担などから、売り上げは、54億8600万円(前期比20.2%増)と続伸するものの、営業利益は、9億2700万円(同20.4%減)、経常利益は8億4900万円(同32.0%減)、純利益は4億2000万円(同36.7%減)と減益転換が見込まれている。しかし、来2016年12月期業績は、増設・新設が本格寄与することで様変わりの好転が予想されている。中期計画では売り上げは72億7600万円(今期見込み比32.6%増)、営業利益18億2000万円(同96.3%増)、純利益12億6300万円(同3.0倍)とV字回復し、続く2017年12月期業績も、売り上げ74億4200万円、営業利益19億1200万円、純利益13億2400万円と続伸が計画されている。

なお5月14日開示の今期1Q業績は、四半期決算が初作成となるため前年同期比較はないが、売り上げ12億900万円、営業利益3億700万円、経常利益2億7500万円、純利益1億1000万円で着地し、営業利益、経常利益の2Q累計業績対比の利益進捗率は、97%と目安の50%を大きく上回り、純利益は、すでに3000万円オーバーして着地した。

■公開価格割れの下げ過ぎ水準から直近IPO株人気を再燃させ上値チャレンジ

株価は、公開価格2750円でIPOされ、今期業績の減益予想やIPOラッシュが響いて公開価格を下回る2100円で初値をつけ、上場来安値1831円まで売られたが、下げ過ぎとして底上げ、今期1Qの好決算を手掛かりに上場来高値2700円と買われ公開価格目前となった。その後、この上昇幅の3分の1押し水準で中段固めを続けているが、なお下げ過ぎは歴然で直近IPO株人気を再燃させ、公開価格奪回から一段の上値チャレンジに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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