【編集長の視点】メタップスは急反落もスマホ関連の独自ビジネスモデルを見直し直近IPO株買いが再燃余地

編集長の視点

メタップス<6172>(東マ)は、245円安の2950円と3日ぶりに急反落して始まっている。日経平均株価が、海外株安の影響を受け308円安と続急落してスタートしたことから、前日1日にストップ高で上場来高値3250円まで買い進まれた同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ、日経平均株価は、寄り付きの安値から一時、前日比プラスに切り返すなど前日終値水準でもみ合っており、同社株にもスマートフォン関連の独自ビジネスモデルをグローバル展開する最先端業態を見直して直近IPO(新規株式公開)株買いが再燃する展開が想定される。今年8月28日のIPOに際して予定していた株式売出しのための第三者割当増資が失権したことも、需給好転思惑を再び高めよう。

■人工知能を駆使しグローバルにスマートフォンアプリの収益最適化を支援

同社は、「世界の頭脳へ」を経営ビジョンに、ビッグテータ分析に基づき、アプリの成功パターンを学習した人工知能(AI)を駆使、スマートフォンアプリ開発者に対してワンストップでアプリの収益最適化を実現するプラットッフォーム「Metaps」を運営し、最適な広告運用・配信も支援するマーケティング事業も合わせて行っている。同サービスを2011年に開始するとともに、早期に海外展開もスタート、すでに海外展開は7拠点に達し、「Metaps」の導入アプリは、2015年3月末に世界で約20億ダウンロード規模となっている。同社の前期売り上げに占める海外比率は61%にのぼっている。

また、同社は、2014年4月からEC向けのオンライン決済を支援するプラットフォ-ム「SPIKE」の展開も開始し、月額固定料や決済手数料が無料となるフリープランも提供し比較優位性を築いている。目下集計中の前2015年8月期業績は、このため売り上げが40億4100万円(前々期78.4%増)と大幅続伸が予想されている。利益については、「Metaps」の業容拡大のための積極的な人材採用や「SPIKE」立ち上げに向けた先行投資、さらにオンライン・オフラインの広告媒体への支払費用の増加などで、経常利益を3億6200万円の赤字(前々期は5億1000万円の赤字)、純利益を3億7000万円の赤字(同5億1000万円の赤字)と連続赤字と見込んでいる。ただ赤字幅そのものは縮小しており、続く2016年8月期業績の黒字転換期待につながっている。

なお第三者増資は、オーバーアロットメントによる株式売出しのために、SMBC日興証券を割当先に27万3000株の新株式発行を予定していたが、前々日8月31日にSMBC日興証券から全株の申込みを行わず失権したと通知を受け、新株式を発行せず需給好転思惑につながっている。

■IPO株投資の鉄則「小さく産んで大きく育てる」通りに上値チャレンジ

株価は、公開価格3300円でIPOされ、世界同時株安後の市場混乱の影響と、同社の前2015年8月期業績が、赤字継続と予想されていることから、初値を公開価格割れの3040円でつけ、上場来安値2555円まで売られたが、赤字継続は、積極的な先行投資を継続しているためで次期2016年8月期業績は黒字転換の可能性もあるとのポジティブな評価が台頭、前日1日にはストップ高し上場来高値3250をつけるなど急速に底上げし、IPO株投資の鉄則「小さく産んで大きく育てる」通りの株価推移となった。初押しの下値から直近IPO株人気を再燃させ、公開価格を上抜き高値チャレンジが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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