【編集長の視点】シーユーシーは1Q既存サービスの順調推移をテコに下げ過ぎ直近IPO株買いが再燃余地も

■新規事業減少も既存事業好調で増益、株価は底上げ途上

 シーユーシー<9158>(東証グロース)は、前日14日の朝方に3255円と買われる場面があったが、大引けでは45円安の3100円と3営業日続落した。日経平均株価が413.74円と反落し、東証グロース市場指数も13・16ポイント安の955.39と続落したことから、今年7月26日に突っ込んだ上場来安値2482円からの底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ同社株は、今年6月21日に新規株式公開(IPO)されIPO後の初決算として7月26日に今2024年3月期第1四半期(2023年4月~6月期、1Q)決算を発表しており、業績数値的には減収減益となったが、新規事業を除いた既存事業では増収増益と順調に推移したことを手掛かりに下げ過ぎ直近IPO株買いが再燃する可能性もある。テクニカル的にも、IPO時に買われた上場来高値5130円から上場来安値までの調整幅の3分の1戻しまで一時リバウンドしており、IPO以来の急騰特性から半値戻し、全値戻しも期待されている。

■医療機関支援事業の営業利益は新規サービス大幅減を既存サービスで補い増益達成

 今期1Q業績は、営業収益76億6300万円(前年同期比24.4%減)、営業利益8億3400万円(同40.6%減)、経常利益7億9300万円(同42.5%減)、純利益4億8200万円(同47.3%減)と減収減益で着地した。同社は、医療機関支援事業とホスピス事業、居宅訪問看護事業を経営の3本柱としている。このうち新規サービスは、医療機関支援事業の新型コロナウイルス感染症のワクチン接種、居宅訪問介護事業の在宅治験及び健康観察支援サービスが、前年同期に比べ大幅に減少したことが減収減益要因となった。ただ例えば医療機関支援事業では、営業収益は27億5500万円(同47.8%減)となったが、既存サービスの営業収益は27億700万円(同30.3%増)と伸び、事業全体の営業利益は、既存サービスの利益寄与で10億7300万円(同6.7%増)と増益となった。ホスピス事業の営業収益が、22億2000万円(同50.2%増)と大きく伸びたが、拠点数の増設やサービス向上に向けた人員増負担などで営業利益が1億3200万円の損失(前年同期は8400万円の黒字)となったことなどをカバーした。このため既存サービス合計の営業収益は74億400万円(同28.0%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費)は、11億3700万円(同2.14倍)と好調に推移した。

 今3月期通期業績は、今年6月のIPO時予想に変更はなく営業収益318億6400万円(前期比9.5%減)営業利益34億4400万円(同6.5%減)、経常利益31億6400万円(同12.9%増)、純利益20億3300万円(同16.1%減)と見込んでいる。なお今期1Qにホスピス事業の拠点数は、M&Aを含めて5カ所を開設し、今期は、第2四半期以降にさらに4カ所の開設を予定している。

■最高値調整幅の3分の1戻しを奪回し半値戻し、全値戻しにトライ

 株価は、公開価格1920円でIPOされ初日は買い気配値を切り上げたまま推移し、2日目に4430円で初値をつけ即ストップして上場来高値5130円まで買い進まれた。その後は、この高人気の反動でストップ高を交えて下値を探り、上場来安値2749円へ突っ込んだところで発表した今期1Q業績を手掛かりに再びストップ高して底上げに転じ一時3500円と最高値から最安値への調整幅の3分の1戻しをクリアした。足元では、25日移動平均線で下値を確かめているが、急騰特性を発揮して戻り高値3500円の3分の1戻し回復から半値戻し、全値戻しと再度トライしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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