【編集長の視点】RSTECHは新株予約権発行が逆に株高思惑を高め新工場稼働開始も支援し反発

編集長の視点

RS Technologies(RSTECH)<3445>(東マ)は、17円高の2562円と反発して始まり、今年5月25日につけた上場来高値2700円を視界に捉えている。今年6月19日に発表された新株予約権の発行を見直し、希薄化懸念より逆に株高思惑を高めると見直し下値買いが入っている。同社は、積極的な中期経営計画の核となる三本木工場(宮城県大崎市)の新製造ライン増設と台南新工場(台湾台南市)の建設を進めているが、台南工場が7月にも稼働開始の予定にあることも、中期業績期待を高めて支援材料視されている。

■業績・株価変動リスクを株主と共有し企業価値の増大を目指す

新株予約権は、同社取締役や従業員を対象に有償で発行され、中長期的な企業価値増大に向け、業績と株価の変動リスクを同社の取締役、従業員と株主が共有することを目的にしており、同社長方永義社長1名向けに発行される第2回は、発行価格2800円、行使価額2499円、取締役、従業員の合計71名向けに発行される第3回は、発行価格を2100円、行使価額を2499円としいずれも7月21日を払込期日としている。

このうち第2回は、行使期間を10年間に設定し、同社株価が行使価額の70%まで一度でも下落した場合には強制行使が義務付けられ、また権利行使には同社株価終値が一度でも3050円をオーバーしなければならないと定めており、株価下落への長期的責任を負わせている。このことは、逆に業績成長や株価上昇へのガバナンス発揮を期待させるもので、株高材料として再評価されている。

一方、生産能力増強は、同社の再生シリコンウエーハの市場が、スマートフォンやタブレット端末の市場拡大により半導体業界向けに好調に推移していることから、三本木工場には最新鋭の設備を備えた工場を増設し、台湾では工場を取得し改装工事中である。両工場の立ち上げはやや計画より後ズレしているが、三本木工場は、今期2Qから売り上げに寄与し、台南工場も7月から生産開始が予定されている。両工場の稼働で、今年12月末の300ミリウエーハの月産能力は26万枚となり、昨年12月末の14万枚から約86%増強される。

業績面では、この能力増強のための一時的支出や新規設備投資の減価償却費負担などから今2015年12月期業績は、売り上げを54億8600万円(前期比20.2%増)と続伸を予想しているものの、利益は減益転換し純利益を4億2000万円(同36.7%減)と見込んでいる。ただ、来2016年12月期業績は、増設・新設が本格寄与することで好転、中期計画に沿って純利益をV字回復の12億6300万円(今期見込み比3.0倍)、続く2017年12月期純利益も13億2400万円と続伸が想定されている。なお今期第1四半期(1Q)純利益は、生産能力増強がややズレ込み費用計上が後倒しとなるため第2四半期(2Q)累計業績に対して63.5%の高利益進捗で着地した。

■行使条件を意識しつつ公開価格奪回から上値挑戦に再発進

株価は、今年3月に公開価格2750円で新規株式公開(IPO)され、公開価格を下回る2100円で初値をつけ、上場来安値1831円まで突っ込んだが、今期1Qの高利益進捗業績などを評価して同高値2700円と大きくリバウンドした。足元は、目先の利益を確定する売り物も交錯しているが、上昇転換した25日移動平均線で下値を確認しつつ下げ過ぎ訂正に動いている。新株予約権の行使条件を意識しつつ公開価格奪回意から上値挑戦へ再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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