【編集長の視点】LTSは続落も3Q決算発表を前に年平均利益成長率19.9%を手掛かりに押し目買い好機

 エル・ティー・エス<LTS、6560>(東マ)は、前日16日に42円安の2108円と続落して引けた。日経平均株価は反発したものの、相場環境の先行きはなお不透明として、同社株には目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ取引時間中には2161円まで買い進まれる場面もあり、今年11月2日に予定している今2018年12月期第3四半期(2018年1月~9月期、3Q)決算の発表を前に、今12月期通期業績の連続過去最高更新を見直し、さらに上ぶれ期待も底流して押し目買いが続いた。今年10月4日には米国のUiPath日本法人からRPA(ロボティック プロセス オートメーション)ツール「UiPath」の認定開発パートナーに認定されたことも発表しており、「働き方改革法案」の成立で大手企業、中小企業を問わず業務を改善し生産性を向上させるニーズを享受し、同社のビジネスチャンスが拡大することも、支援材料視されている。

■登録会員数は毎期1000社ペースで増加し「働き方改革法案」成立の追い風

 同社の今2018年12月期業績は、売り上げ26億3000万円(前期比9.3%増)、営業利益2億3000万円(同25.1%増)、経常利益2億2800万円(同31.1%増)、純利益1億5300万円(同28.5%増)と連続最高業績が予想されている。売り上げは7期連続の増収で、この間の年平均成長率は18.9%に達し、営業利益の年平均成長率は、売り上げを上回る19.9%となる。
 ロボティクスとAI(人工知能)の活用で企業の業務・経営課題を可視化して業務自動化、デジタルシフト、人手不足解消などをサポートするプロフェショナルサービス事業の安定成長に、オンライン上で受発注するサイト「アイサンナビ」などを展開するプラットフォーム事業の拡大・収益寄与が上乗せとなることが要因となる。「働き方改革法」成立で企業の業務改善・生産性向上ニーズが高まる環境下、プロフェショナルサービス事業では、従来型のコンサルティング案件の獲得に加えてデータ分析やRPA導入などのデジタル活用サービスが拡大し、プラットフォーム事業では、法人・個人の登録会員数が、毎期1000社・人ペースで増加している。

 すでに今年5月に開示した今期第1四半期(2018年1月~3月期、1Q)決算、同8月に発表の第2四半期(2018年1月~6月期、2Q)累計業績とも、プラットフォーム事業の合計会員数が、前期末の5400から約6200に拡大したことなどからいずれも2ケタの増収増益で着地し、12月期通期予想業績に対して高進捗率を示した。同社は、もともと会計特性として3Q以降の下期偏重型となっており、1Q・2Q業績とも高利益進捗率を示したことから過去最高更新業績の一段の上ぶれ期待も高めており、11月2日発表予定の今期3Q決算が、注目度をアップさせている。

 なお、米国のUiPath社は、RPAによる自動化実績が世界で1800社、日本で500社に達する世界トップ・カンパニーで、この開発パートナーに認定されたことでRPA導入サービスの提供体制の強化につながり、高成長戦略として業績を押し上げる。

■GC示現で上昇トレンド転換を鮮明化し相場格言の「半値戻しは全値戻し」を目指す

 株価は、昨年12月14日に新規株式公開(IPO)され、初値を2810円(公開価格680円)でつけ、初値倍率が4.13倍となる高人気となり、12月30日には上場来高値3085円まで買い進まれた。年明け後は、連続2ケタ増収増益の業績高成長を示したにもかかわらず、米中貿易戦争などによる度重なる世界同時株安に巻き込まれて下値を探り、今年8月に上場来安値1355円へダメ押しをした。同安値からは、ミヤンマーでのオフショア開発、スタートアップ企業への出資プログラム、GRADIT社とのRPAパートナー契約などの成長戦略の発表が相次いで急速に底上げ、2220円の戻り高値をつけて上場来高値から同安値までの調整幅の半値戻しを達成した。テクニカル的にもこの間、短期線の5日移動平均線が、中期線の25日移動平均線を下から上に抜くゴールデン・クロス(GC)を示現し、さらにその25日線が75日移動平均線を上抜きゴールデン・クロスをして上昇トレンド転換を鮮明化した。初値の2810円奪回で弾みをつけ、相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに上場来高値を目指そう。(
本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  2. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  3. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  4. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  5. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  6. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る