【注目銘柄】新光電工は最高純益更新の業績上方修正と成長投資を手掛かりに押し目買い交錯

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 新光電気工業<6967>(東1)は、日経平均株価が下げ幅を拡大させたことから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が出ている。ただ反落幅は限定的で、今年7月29日に発表した今2022年3月期業績の上方修正を見直し、純利益が15年ぶりに過去最高を更新する更新幅が拡大することを手掛かりに押し目買いが交錯している。さらに今年10月4日には、1580億円を投資して新工場と新生産ラインを建設する成長投資を発表しており、業績成長性を高めるとして期待も高め買い材料視されている。

■最先端パッケージが大きく続伸し半導体製造装置用の基幹部品も好調

 同社の今2022年3月期業績は、第1四半期決算発表の今年7月に今期第2四半期(2021年4月~9月期、2Q)累計業績と通期業績が合わせて上方修正された。このうち今3月期通期業績は、期初予想より売り上げを147億円、営業利益を72億円、経常利益を58億円、純利益を36億円それぞれ引き上げ、売り上げ2420億円(前期比28.9%増)、営業利益406億円(同74.0%増)、経常利益395億円(同49.0%増)、純利益269億円(同49.3%増)と見込み、純利益は、過去最高の192億2500万円(2007年3月期)を大幅に更新する。

 5Gの普及などでパソコン、サーバー用などの半導体の高機能化・高速化・省電力化が進むなか、同半導体向けフリップチップタイプパッケージが大きく続伸し、半導体製造装置の基幹部品であるセラミック静電チャックも大幅続伸したことが寄与した。ただこの通期業績の上方修正幅は、2Q累計業績の修正幅より小幅にとどまっている。2Q累計業績の想定為替レートを期初予想の1ドル=105円から108円へ円安・ドル高方向に見直したものの、下期の想定為替レートは期初予想通りに据え置いたことなどが要因となっている。足元の為替レートは、1ドル=113円台となっており、今年10月26日予定の今期2Q累計決算発表時の業績再上方修正期待も底流している。

 一方、成長投資は、すでに2018年度から推進し昨年10月には高岳工場(長野県中野市)のフリップチップタイプパッケージの新ラインが稼働しているが、生産能力をさらに増強する。1400億円を投資して長野県千曲市に新工場を建設して同パッケージ生産を3工場体制から4工場体制へ増強、生産能力は現行の50%増とする。またセラミック静電チャックも、生産工場の高岳工場に180億円を投資して新棟を建設し、今年12月に着工、生産能力は現行の2倍とする計画である。

■業績上ぶれ観測ベースでは割安感目立ち年初来高値奪回に弾み

 株価は、今期業績の続伸予想で4140円まで900円超高したが、今年7月の今期業績の上方修正では全般相場の急落で反応は限定的にとどまり3210円とほぼ往って来いとなり、今年9月初旬に掛けての全般相場の急伸とともに年初来高値4225円まで買い直された。同高値後は成長投資発表にも反応薄で3300円台まで再調整し、出直りを窺っている。PER17倍台と割安感は乏しいが、一部の業績上ぶれ観測ベースでは15倍台となり、25日移動平均線から7%のマイナスかい離と下げ過ぎも示唆しているだけに、2Q累計決算発表を先取り一段高も有力となる。年初来高値奪回に弾みをつけよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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