ENEOSと千代田化工など、低コスト型有機ハイドライド製法での豪州産CO2フリー水素サプライチェーン実証の規模拡大に成功

■世界で初めて実際に使用できるレベルまで規模を拡大

 ENEOSホールディングス<5020>(東1)グループのENEOSと千代田化工建設<6366>(東2)、クイーンズランド工科大学(学長:Margaret Sheil:QUT)は11月2日、2018年から進めているCO2フリー水素の製造、輸送、脱水素に関する技術検証において、世界で初めて実際に使用できるレベルまで規模を拡大し、燃料電池自動車(FCV)へ充填することに成功したと発表。

■再生可能エネルギー由来の水素を燃料電池自動車に充填

 水素を貯蔵・運搬する際には、水電解によって生成した水素をタンクに一度貯蔵し、その次に有機ハイドライドの一種であるメチルシクロヘキサン(MCH)に変換する必要がある。同技術検証では、その工程を大幅に簡略化し、水とトルエンから一段階の反応でMCHを製造する、ENEOSが開発した「有機ハイドライド電解合成法(Direct MCH(R))」を採用している。

 2019年3月に、同手法により豪州の再生可能エネルギー由来のMCHを製造し、日本で水素を取り出す世界初の技術検証を実験室レベル(約0.2kg)で成功していたが、実際に使用できるレベル(約6kg)にまで規模を拡大し、日本においてMCHから水素を取り出し、実際に燃料電池車に充填、走行させることに成功した。

■CO2フリー水素サプライチェーンの構築へ

 水素の大量消費社会の実現に向けて、ENEOSはMCH製造量を更に増加させるために、Direct MCH(R)技術を活用する電解槽の大型化に取り組んでおり、同検証はその一環。2022年度には大型電解槽のベースとなる150kW(電極面積3m2)級の中型電解槽を完成させ、2025年度をめどに5MW級の大型電解槽の開発を目指している。将来的には2030年度をめどに、CO2フリー水素サプライチェーンの構築に向け、技術開発を進めている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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