【注目銘柄】マルハニチロは米国の漁獲枠譲受に業績上方修正がオン、3000円大台回復を意識

 マルハニチロ<1333>(東1)は、今年1月8日に開示した米国ベーリング海の漁獲枠付きの漁船9隻の資産譲り受けに続き、2月7日には今2022年3月期第3四半期(2021年4月~12月期、3Q)決算の開示に合わせて今3月期通期業績の上方修正を発表しており、相次ぐ好材料に割安株買いが増勢となっている。テクニニカル的にも5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現したあと、この日の急伸でその25日線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現しており、上昇トレンド転換として側面支援材料となりそうだ。

■ベーリング海へのアクセスシェアは41%に高まりトップに

 漁船9隻の資産譲り受けは、同社の連結子会社2社がIcicle Seafoods社から行ったもので、米国漁業法上のベーリング海のスケソウダラの陸上枠の漁獲権付きである。スケソウダラの水揚げには陸上枠を持つ漁獲権が必要であり、今回の資産譲り受けで同社の陸上枠のアクセスシェアは、31%から41%に高まってトップシェアとなり、世界3大漁場の一つのベーリング海でペルーのアンチョビに次ぐ漁獲量のスケソウダラへのアクセスがより高まることになる。同社は、2020年に不採算の北米鮭鱒事業から撤退しており、北米の水産加工事業のアセット入れ替えはこれで完了し、業績寄与は今期は軽微にとどまるが、来期から本格化するとしている。

 一方、今3月期通期業績は、期初予想より売り上げを400億円、営業利益を30億円、経常利益を50億円、純利益を25億円それぞれ引き上げ売り上げ8600億円(前期比6.3%増)、営業利益230億円(同42.2%増)、経常利益260億円(同43.7%増)、純利益165億円(同2.86倍)と大幅増益転換を見込み、純利益は、1986年1月期の過去最高(169億5500万円)に肉薄する。同時発表の3Q業績が、期初予想の3月期通期業績を上回って着地したことを踏まえて上方修正したもので、水産資源事業でコロナ禍の影響で外食・業務筋向けは伸び悩んだが、巣ごもり需要向けにマグロの販売量が増加し、ブリ相場も上昇し、海外市場でも水産物、加工品の需要が拡大したことなどが寄与した。なお純利益は、前期計上の事業撤退損失30億円が一巡して大幅増益転換する。

■PER8倍、PBR0.9倍の割安修正をGCが支援し昨年来高値目指す

 株価は、今期第1四半期業績の2ケタ増益着地にコロナ禍の第5波による巣ごもり需要関連株人気がオンして2722円高値まで買い進まれ昨年3月につけた昨年来高値2795円に肉薄したが、第2四半期の同じ2ケタ増益業績ではオミクロン株の感染爆発とともに2264円まで調整し、売られ過ぎとして25日線水準までリバウンドした。ミニGC、GCと次々に好形チャートを示現しているうえにPERは8.4倍、PBRは0.97倍と割安評価にとどまっている。昨年来高値を目指しスピードアップし、2019年11月以来の3000円大台回復も意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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