【編集長の視点】クレステックは最高値を射程圏、業績上ぶれ着地期待を高めて割安IPO株人気が続く

編集長の視点

クレステック<7812>(JQS)は、164円高の2100円と3営業日続伸して始まり、前週末10日取引時間中につけた上場来高値2292円を射程圏に捉えている。同社株は、今年7月8日に公開価格960円で新規株式公開(IPO)されたばかりで、1751円で初値をつけ上値追いとなっているが、目下集計中で8月中旬に発表予定の前2015年6月期業績が、IPOと同時に発表した前期第3四半期(3Q)の高利益進捗率業績から上ぶれ余地があるとして、割安IPO株買いが増勢となっている。

■世界11カ国、19拠点がフル稼働し円安進行もフォロー

同社の前2015年3月期業績は、売り上げ135億5000万円(前々期比2.3%増)、経常利益6億400万円(同25.0%増)、純利益3億600万円(同52.6%増)と予想され、配当も、新興市場のIPO株として異例の30円(前々期実績5円)の高配当を予定していた。企業の新製品に必要な取扱説明書、修理マニュアル、設置マニュアルなどのドキュメントの制作に開発段階から係わり、輸送機器、情報機器、家電製品、医療機器、産業用ロボットなどの顧客企業のグローバル化とともに、世界11カ国に19カ所の拠点を展開して約90言語に対応、顧客企業の新製品開発やモデルチェンジなどによって売り上げが続伸、企業からの価格引下げ要請も印刷業務を手掛ける海外法人の稼働率改善・向上や為替相場が円安にあることなどでカバーして好業績につながっている。

一方、IPOと同時に発表した前期3Q業績は、四半期決算は初作成となるため前年同期比較はないが、売り上げ108億6800万円、経常利益6億3800万円、純利益3億7300万円となっており、利益はすでに6月通期予想値を3400万円~6700万円上回っており、IPO後発決算発表となる8月中旬に上ぶれ着地期待を高めている。

■公開価格比2.3倍化もPERはなお18倍台と相対的に割安

株価は、IPO時の資金吸収額が4億円超と小規模で公開価格960円のPERが9倍台、さらに30円の高配当から配当利回りも3.12%と割安として1751円で初値をつけ、上場2日目はストップ高し、上場来高値2292円まで公開価格比2.3倍化した。実績PERはなお19倍台、配当利回りも1.43%と直近IPO株として相対的に割安であり、最高値奪回から上値追いに拍車をかけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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