【編集長の視点】アイホンは最高純利益更新の業績上方修正、宅配便の入館認証サービス「パビット」に注目

■「2024年問題」でビジネスチャンスを拡大

 アイホン<6718>(東証プライム)は、前日13日に17円安の2951円と反落して引けた。同社株は、今年8月30日に上場来高値3080円まで買われており、日経平均株価が、69円安と反落するなか目先の利益を確定する売り物に押された。ただこの日の安値2938円からは小戻して引けており、押し目買いも交錯した。8月1日に発表した今2024年3月期業績の上方修正で、純利益が過去最高を2期ぶりに大幅に更新することが買い手掛かりとなった。また8月16日には宅配便向けの入館認証サービス「Pabbit(パビット)」の市場浸透チームを新設したことも、物流業界のドライバー不足が懸念される「2024年問題」でビジネスチャンスを拡大するとして側面支援材料視されている。

■電子部品供給が回復し海外市場向けバックオーダーの解消も進む

 同社の今3月期通期業績は、期初予想より売り上げを33億円、営業利益を12億円、経常利益を15億円、純利益を13億円それぞれ引き上げ、売り上げ600億円(前期比13.6%増)、営業利益55億円(同46.3%増)、経常利益62億円(同48.8%増)、純利益46億円(同57.0%増)と見込み、純利益は、過去最高(2022年3月期、42億2600万円)を2期ぶりに大幅更新する。不足していた電子部品・部材の供給が回復して海外市場のバックオーダーの解消が進み、国内でも内定受注の納入が想定以上に好調に推移したことなどが要因となった。配当は、年間80円(前期実績80円)と横ばいを予定しているが、過去最高業績の2022年3月期は年間90円としていたことで、今後、増配催促の動きも強まりそうだ。

 なお「Pabbit」は、新規分野の事業として注力中の新サービスで、集合住宅向けに配達中の荷物をその伝票番号をエントランスのインターフォーンに照合して認証させるとオートロックが解錠されて入館できる認証サービスとなっている。ドライバーの残業時間が規制され、ドライバー不足が懸念される物流業界の「2024年問題」では、ラストワンマイルの宅配便の再配達が大きなネックとされており、新築マンションなどに同サービスが設置されるケースも増えており、業績押し上げ材料として注目されている。

■25日線で下値を確認しPER10倍、PBR0.8倍の修正に再発進

 株価は、欧米銀行破綻による世界的な金融システム不安が響いてつけた1948円安値から売られ過ぎ修正で下値を切り上げ2522円と買い進まれ、今期業績の上方修正とともに窓を開けて上場来高値3080円まで二段高し、足元では25日移動平均線で下値を確認する調整場面を続けている。PERは10.4倍、PBRは0.82倍となお割安であり、最高値抜けから一段の上値追いが想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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