加賀電子は23年3月期1Q大幅増益で通期予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

(決算速報)
 加賀電子<8154>(東証プライム)は8月4日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。大幅増収増益だった。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。そして通期予想を上方修正した。第1四半期の好調を勘案すれば、さらに再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り上げて2月の年初来高値に接近している。通期予想の上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期1Q大幅増益で通期上方修正、さらに再上振れの可能性

 23年3月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比40.9%増の1493億02百万円、営業利益が2.2倍の98億20百万円、経常利益が2.2倍の98億58百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の69億84百万円だった。

 大幅増収増益だった。売上高、営業利益、経常利益は第1四半期として過去最高だった。社内計画に対して売上高は約270億円、営業利益は約46億円上振れて着地した。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込み、さらに販売ミックス変化による売上総利益率向上(0.5ポイント上昇)なども寄与した。

 電子部品事業は、売上高が47.3%増の1334億77百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.4倍の90億18百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かして、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルではスポット販売が想定以上だった。EMSビジネスでは車載関連や医療機器関連が好調に推移した。中国・上海ではロックダウンの影響を最小限に抑えた。

 情報機器事業は売上高が4.8%増の111億47百万円で、利益が0.6%減の5億64百万円だった。売上面では法人向けパソコンおよび教育機関向けパソコンの販売が堅調に推移し、LED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が12.3%減の4億98百万円、利益が33百万円の赤字(前年同期は67百万円の赤字)だった。その他事業は売上高が1.4%増の41億78百万円、利益が14.7%増の2億49百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 通期連結業績予想は8月4日付で上方修正して、売上高が22年3月期比8.9%増の5400億円、営業利益が14.7%増の240億円、経常利益が14.2%増の245億円、親会社株主帰属当期純利益が3.9%増の160億円としている。配当予想は据え置いて22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 第1四半期の上振れを勘案し、従来予想に比べて売上高を300億円、営業利益を28億円、経常利益を33億円、親会社株主帰属当期純利益を15億円それぞれ上方修正し、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は従来の減益予想から増益予想に転じた。なお第2四半期累計予想は据え置いている。

 通期セグメント別計画(8月4日付修正後)は、電子部品事業の売上高が9.9%増の4770億円でセグメント利益が17.6%増の213億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。電子部品事業の売上高と利益を上方修正した。

 修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が27.6%、営業利益が40.9%、経常利益が40.2%、親会社株主帰属当期純利益が43.7%となる。第2四半期以降の不透明感を考慮しているが、第1四半期の好調を勘案すれば、さらに再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は水準を切り上げて2月の年初来高値に接近している。通期予想の上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。8月4日の終値は3315円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS609円58銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約951億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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