三菱重工グループは新聞輪転機自動運転機能を新開発、AI活用による自動運転でスキルレス化・省力化を実現

■オペレーターの経験や技術に頼っていた紙の張り調整や色調調整をAI活用

 読売新聞東京本社と、三菱重工業<7011>(東証プライム)グループの三菱重工機械システム(MHI-MS)は9月20日、新聞輪転機用の自動運転機能「Auto-Pilot Printing(オートパイロットプリンティング)(APP)」を共同で開発したと発表。これにより、オペレーターの経験や技術に頼っていた紙の張り調整や色調調整を、AIを活用して自動で行えるようになるほか、災害や感染症拡大等の有事には、限られた人数のオペレーターによる輪転機の運転が可能となる。同機能は読売新聞鶴見工場で既に実機運用されている。

 新聞印刷工場の現場は、オペレーターの高齢化、次世代の要員に対する技術の伝承と人材育成、採用難による後継者不足等が大きな課題となっており、地震・台風等自然災害やコロナ禍じみた非常時における一時的な要員確保も対応が必要になっている。これらの課題を解決するため、印刷開始前の初期設定から印刷終了までを自動で行う「APP」の開発を行った。

■APPによる自動運転を実現するための3つの主要技術

(1)印刷時の各種設定値を自動最適化する印刷支援機能「DIANA(ダイアナ)」の高度化(AI化)と印刷品質制御装置「DIAMOND EYE(ダイアモンドアイ)」との統合
(2)印刷用紙の走行を安定させるテンションコントロール(張力制御)機能の高度化
(3)印刷紙面品質の出荷基準に対する合否の自動判定機能

 まず、「DIANA」の高度化と「DIAMOND EYE」との統合は、これまでオペレーターの経験に頼っていた紙面や印刷資材にあわせた最適な調整値の設定を、今回開発したAIエンジンが自動で行うものである。

 次に、テンションコントロール機能の高度化は、これまでオペレーターの熟練技術に頼っていた印刷開始時の走行紙のテンションコントロールを、高度化された制御システムが自動で行うものである。

 最後に、印刷紙面品質の出荷基準に対する合否の自動判定機能は、これまでオペレーターの経験と感覚を頼りに紙面を見ながら行っていた印刷紙面品質の合否判定を、各種制御装置からの信号を基に自動で処理するものである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る