
■ハードとソフト統合プラットフォームを構築、金融業界向けに提供
富士通<6702>(東証プライム)は9月25日、英国スタンダードチャータード銀行のベンチャー投資・インキュベーション部門であるSCベンチャーズと、量子アプリケーション開発を支援する新会社の設立に向けて提携すると発表した。新会社は、量子ハードウェアとソフトウェアを統合したプラットフォームを構築し、金融業界を中心に量子技術を活用した新サービスの開発を支援することを目的とする。富士通の量子技術の知見と、SCベンチャーズのベンチャー創出や金融分野の経験を融合させ、顧客企業の研究開発やソリューション構築を後押しする。
富士通はこれまで、理化学研究所との共同研究を通じて量子技術の開発を進めてきた。同社は2026年度に1,000量子ビットの超伝導量子コンピュータを稼働させ、2030年度には1万量子ビット超(250論理量子ビット)の実現を計画している。新会社では、こうした技術基盤を活用し、量子ソフトウェアやアルゴリズム開発環境を提供するほか、不正検出やリスクシミュレーション、デリバティブ価格設定、与信審査などの分野に事前構築されたアルゴリズムを組み込み、ユーザーが独自にアルゴリズムを開発・検証できるようにする。さらに、コンサルティングサービスを通じ、量子技術の導入を支援する体制を整える。
新会社は金融サービス分野のユースケース開発を軸に事業を展開し、将来的には金融以外の産業分野にもソリューションを拡大する方針である。SCベンチャーズは、量子ハードウェアとソフトウェアの両方を扱う富士通との協業が業界の融合を促し、企業の量子導入を加速すると評価している。富士通側も「真の量子優位性を実現するための大胆な一歩」と位置付け、両社の協業を通じて量子技術の実用化と社会実装を推進していく考えを示した。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)