星光PMCは22年12月期3Q累計営業減益、23年12月期収益拡大期待

(決算速報)
 星光PMC<4963>(東証プライム)は、11月11日の取引時間中に22年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。原材料価格高騰の影響などで営業減益だった。通期予想は据え置いた。22年12月期は原材料価格高騰の影響で減益予想だが、23年12月期は製品価格への転嫁、高付加価値製品の拡販、成長投資の成果などで収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く年初来安値圏だが、22年12月期減益予想は織り込み済みであり、調整一巡して出直りを期待したい。

■22年12月期3Q累計営業減益、通期予想据え置き

 22年12月期第3四半期累計の連結業績(収益認識会計基準適用だが影響軽微)は、売上高が前年同期比5.0%増の241億62百万円、営業利益が30.0%減の15億90百万円、経常利益が3.1%減の23億89百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7.3%増の17億60百万円だった。

 差別化製品の市場投入効果なども寄与して増収だったが、原材料価格高騰や成長投資費用増加などの影響で営業減益だった。ただし営業外収益で、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する評価替えによる為替差益が増加(前年同期は93百万円計上、今期は6億48百万円計上)したため、経常利益は営業利益に比べて減益幅が縮小し、親会社株主帰属四半期純利益は増益だった。

 製紙用薬品事業は売上高が13.3%増の146億64百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が25.1%減の7億15百万円だった。国内外における差別化商品の拡販や国内板紙向けの堅調な販売で増収だが、原材料価格高騰の影響で減益だった。樹脂事業は売上高が16.1%減の51億64百万円で、セグメント利益が62.7%減の2億64百万円だった。印刷インキ用樹脂は増収だったが、粘着剤や記録材料用樹脂が低調だった。化成品事業は売上高が10.6%増の43億33百万円で、セグメント利益が11.4%減の8億73百万円だった。主力製品の輸出売上増加などで増収だが、利益面は原材料価格高騰の影響を受けて減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期売上高が75億30百万円、営業利益が5億81百万円、経常利益が8億49百万円、第2四半期は売上高が84億08百万円、営業利益が5億39百万円、経常利益が8億96百万円、第3四半期は売上高が82億24百万円、営業利益が4億70百万円、経常利益が6億44百万円だった。

 通期の連結業績予想(8月9日付で売上高を6億20百万円下方修正、営業利益を据え置き、経常利益を5億30百万円上方修正、親会社株主帰属当期純利益を5億円上方修正)は据え置いて、売上高が21年12月期比5.8%増の328億40百万円、営業利益が28.9%減の20億40百万円、経常利益が14.3%減の26億90百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が5.4%減の19億70百万円としている。配当予想は21年12月期と同額の16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。

 ナフサを中心とする原材料価格の一段の上昇が見込まれるが、製品価格への転嫁、差別化製品の拡販、諸経費の減少などで吸収する見込みとしている。経常利益と親会社株主帰属当期純利益については為替差益計上を考慮している。第3四半期累計の進捗率は売上高が73.6%、営業利益が77.9%、経常利益が88.8%、親会社株主帰属当期純利益が89.3%と順調であり、通期会社予想の達成は可能だろう。

 22年12月期は原材料価格高騰の影響で営業利益成長が減速する形だが、製品価格への転嫁、高付加価値製品の拡販、成長投資の成果などで23年12月期の収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く年初来安値圏だが、22年12月期減益予想は織り込み済みであり、調整一巡して出直りを期待したい。11月11日の終値は536円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円97銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS979円59銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約163億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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