【注目銘柄】紙パルプ商事は年初来高値を視界、純益再上方修正による低PERランキングのランクアップを見直す

 日本紙パルプ商事<8032>(東証プライム)は、前日15日に220円高の4980円と急反発して引け、東証プライム市場の値上がり率ランキングの第44位とトップ50にランクインした。と同時に取引時間中には一時、5000円台にタッチし、11月8日につけた年初来高値5140円を視界に捉えた。同社株は、今年11月8日に今2023年3月期業績の再上方修正を発表しており、純利益が、前期の過去最高を大幅に更新することを見直し割安株買いが再燃した。純利益再上方修正により東証プライム市場の低PERランニングで、第15位~16位から第12位にランクアップすることも、サポート材料視されている。

■複数回にわたる価格改定が浸透し固定資産売却益もオン

 同社の今2023年3月期業績は、今年6月に固定資産の売却益166億円を計上して純利益が上方修正されたが、その他の利益は期初予想を据え置いてきた。今回は、この期初予想より営業利益を58億円、経常利益を50億円それぞれ引き上げ営業利益190億円(前期比35.1%増)、経常利益190億円(同26.2%増)と見込み、期初の減益転換予想が連続増益となる。純利益も、6月増額値を35億円アップさせ230億円(前期比2.0倍)と大幅続伸し、前期の過去最高(114億9900万円)を大幅更新する。

 経済活動の正常化とともに国内卸売事業ではチラシ、パンフレットなどイベント向けに紙需要が回復し、海外卸売事業でも板紙などの輸出が続伸、原燃料価格の上昇や物流費の高騰による製造・販売コスト増に対応して複数回の価格改定を行い浸透したことが要因で、とくに海外卸売事業は、第2四半期累計の売上収益が前年同期比55.4%増の1395億4000万円、経常利益が同3.9倍の61億6100万円と続伸したことが大きく寄与している。

■PER2.9倍でランク12位に位置し年初来高値抜けから最高値挑戦

 株価は、今年2月の前期業績の上方修正で4225円高値まで上昇したあと、ウクライナ情勢の緊迫化による地政学リスク、今期業績の減益転換予想が重なって年初来安値3555円へ売られ、第1回目の今期業績の上方修正で4630円まで大きく買い直され、2回目の今期業績の上方修正で年初来高値5140円へ上値を伸ばし、スピード調整中である。PERは2.9倍と東証プライム市場の低PERランキングの第12位と割安で、PBRも0.73倍と割り負けており、年初来高値抜けから2018年6月につけた上場来高値5290円奪回に向け加速しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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