【どう見るこの株】トーホーは上値試す、23年1月期3Q累計予想は3回目の上方修正

どう見るこの株

 トーホー<8142>(東証プライム)は業務用食品卸売の最大手である。西日本を地盤に展開し、M&Aによる関東地区のシェア拡大も推進している。23年1月期第3四半期累計は主力のDTB(業務用食品卸売)事業が好調に推移し、増収効果やコスト・コントロール効果で大幅増益(黒字転換)だった。そして通期予想を上方修正(3回目)した。11月の売上状況も順調であり、通期会社予想は4回目の上振れ余地がありそうだ。そして24年1月期はFSL(食品スーパー運営)事業を譲渡して更なる利益改善が予想される。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価はFSL譲渡や好業績も評価して年初来高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■業務用食品卸売の最大手

 業務用食品卸売の最大手である。西日本を地盤に展開し、M&Aによる関東地区のシェア拡大も推進している。

 セグメント区分は、業務用食品調達で外食ビジネスをサポートするディストリビューター(業務用食品卸売:DTB)事業、プロの食材の店「A-プライス」を中心に中小飲食店の仕入をサポートするキャッシュアンドキャリー(業務用食品現金卸売:C&C)事業、および食品品質管理、業務用調理機器、業務支援システム、飲食店内装設計・施工などで外食ビジネスをサポートするフードソリューション(FSL)事業としている。

 なお兵庫県南部で展開している食品スーパー運営(FSM)事業については、子会社トーホーストアの株式をコノミヤに譲渡して撤退予定(22年11月1日付で基本合意書締結、株式譲渡日23年2月~23年3月末目途)である。

 23年1月期第3四半期累計の売上構成比はDTBが69%、C&Cが18%、FSMが8%、FSLが6%、営業利益構成比はDTBが77%、C&Cが32%、FSMが▲24%、FSLが16%だった。業績が低迷しているFSMを譲渡することで、24年1月期以降は全体として売上面は減収要因となるが、利益面は増益要因となる見込みだ。

■成長戦略としてコア事業の更なる強化や新たなサービスの開発を推進

 第8次中期経営計画(22年1月期~24年1月期)では、5つの重点施策としてコア事業の更なる強化、新たなサービスの開発、損益分岐点の引き下げ、資産回転期間の改善、次代を担う人材の育成を掲げている。

 コア事業の更なる強化では未開拓業態・顧客層の開拓、顧客・現場視点でのPB商品の開発・販売強化、グループシナジーの更なる発揮、M&A・アライアンスを活用した未開拓エリア等への進出、新たなサービスの開発では変化する顧客ニーズに即した商品・サービスの開発、新たな経営環境に即した販売・店舗モデルへの挑戦、損益分岐点の引き下げでは聖域なきコスト・コントロールの継続、働き方の更なる改革による生産性向上、業務のシステム化推進、資産回転期間の改善ではメリハリのある投資とPDCA、次代を担う人材の育成では教育研修の更なる充実、ジョブローテーションの活性化、女性活躍の推進などの施策に取り組んでいる。

■23年1月期予想は3回目の上方修正、さらに4回目の上振れ余地

 23年1月期第3四半期累計(2月~10月)の連結業績は、売上高が前年同期比15.5%増の1554億13百万円、営業利益が21億35百万円の黒字(前年同期は14億48百万円の赤字)、経常利益が23億88百万円の黒字(同9億07百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が12億92百万円の黒字(同11億70百万円の赤字)だった。

 大幅増収増益(黒字転換)だった。売上面では、コロナ禍による行動制限が解除されて飲食店への客足が戻り、主力のDTBとC&Cが好調に推移した。利益面では、増収効果に加えてコスト・コントロール効果も寄与した。なお営業外収益では雇用調整助成金が減少(前期4億43百万円、今期1億17百万円)し、特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期2億16百万円、今期1百万円)した。

 セグメント別に見ると、DTBは売上高が22.5%増の1070億63百万円で営業利益が16億38百万円の黒字(前年同期は15億23百万円の赤字)、C&Cは売上高が9.2%増の275億11百万円(収益認識会計基準適用の影響を除くベースでは10.5%増の278億45百万円)で営業利益が6億80百万円の黒字(同60百万円の黒字)、FSLは0.9%増の87億63百万円で営業利益が24.2%増の3億33百万円だった。なおFSMは2店舗閉店も影響して、売上高が9.5%減の120億74百万円で営業利益が5億17百万円の赤字(同2億54百万円の赤字)だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高480億10百万円で営業利益3億17百万円、第2四半期は売上高523億40百万円で営業利益9億23百万円、第3四半期は売上高550億63百万円で営業利益8億95百万円だった。

 通期連結業績予想は12月12日付で上方修正(6月10日付、9月5日付に続いて3回目の上方修正)して、売上高が22年1月期比12.4%増の2120億円、営業利益が29億円の黒字(22年1月期は4億46百万円の赤字)、経常利益が31億円の黒字(同1億78百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が14億円の黒字(同3億35百万円の黒字)としている。配当予想(6月10日付および9月5日付で合計15円上方修正)は据え置いて、22年1月期比15円増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 第4四半期もDTBを中心に回復する見込みだ。なおFSM譲渡の影響は織り込んでいないとしている。修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が73.3%、営業利益が73.6%、経常利益が77.0%、親会社株主帰属当期純利益が92.3%となる。また月次売上状況(前年比、速報値)を見ると22年11月度は全社が112.8%(内訳はDTBが114.2%、C&Cが104.2%、FSMが94.7%、FSLが151.7%)と順調であり、通期会社予想は4回目の上振れ余地がありそうだ。そして24年1月期はFSLを譲渡して更なる利益改善が予想される。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株主優待制度については、毎年7月末および1月末時点の株主に対して、保有株式数および保有期間に応じて買物割引券や商品などを贈呈(11月28日付で優待内容の一部変更を発表、詳細は会社HP参照)している。

 株価はFSL譲渡や好業績も評価して年初来高値更新の展開だ。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となっている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。12月16日の終値は1806円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS130円15銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1852円14銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約199億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る