Jトラストは23年12月期営業減益予想だが保守的、配当は連続大幅増配予想

(決算速報)
Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は2月14日に22年12月期連結業績を発表した。金融事業の成長と事業ポートフォリオ再構築の成果で前回予想を上回る大幅増収増益だった。23年12月期は韓国における金利上昇影響などを考慮して営業減益予想(JTG証券の金融商品取引業を含まず)としている。ただし保守的な印象が強く上振れの可能性ありそうだ。さらに24年12月期以降は営業利益再拡大を計画しており、中長期的に収益拡大基調が期待されるだろう。なお23年12月期の配当は連続大幅増配予想で、株主優待制度も再開する。株主還元をより一層強化する方針だ。株価は23年12月期営業減益予想を嫌気して急落の形となったが、目先的な売りが一巡し、積極的な株主還元策も評価して出直りを期待したい。

■22年12月期大幅増益着地、23年12月期営業減益予想だが保守的

22年12月期の連結業績(IFRS)は、営業収益が前年同期比94.7%増の824億19百万円、営業利益が2.7の143億99百万円、税引前利益が2.9倍の169億95百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が11.2倍の126億32百万円だった。

投資事業において21年12月期のシンガポールでの勝訴判決に伴う履行金受領の反動があったが、金融事業の成長と事業ポートフォリオ再構築の成果により、前回予想(22年8月12日付で上方修正して営業収益790億円、営業利益130億円、税引前利益160億円、親会社の所有者に帰属する当期利益120億円、JDG証券の金融商品取引業を含まず)を上回る大幅増収増益だった。特に東南アジア金融事業が黒字転換し、韓国およびモンゴル金融事業の負ののれん発生益も寄与した。

セグメント別に見ると、日本金融事業は営業収益が20.4%増の117億74百万円で、営業利益が14.3%減39億31百万円だった。連結取込(JTG証券、Nexus Card)も寄与して増収だが、同時に販管費も増加したため減益だった。

韓国およびモンゴル金融事業は、営業収益が2.6倍の384億51百万円で、営業利益が4.5倍の144億37百万円だった。JT親愛貯蓄銀行の連結取込などで大幅増収となり、負ののれん発生益の計上(約97億円)も寄与した。

東南アジア金融事業は、営業収益が73.7%増の291億73百万円で、営業利益が58百万円の黒字(21年12月期は63億72百万円の赤字)だった。銀行業における貸出金増加や保有有価証券増加に伴う利息収支増加などで大幅増収となり、銀行業における優良な貸出金の積み上げによる営業収益増加や、審査体制の見直しによる貸出債権のリスク低下、預金金利低下による資金調達コストの減少などで黒字転換した。

投資事業は、営業収益が貸付金利息の減少で64.8%減の2億26百万円、営業利益が前期のシンガポールでの勝訴判決に伴う履行金受領の反動で22億05百万円の赤字(同54億45百万円の黒字)だった。その他事業は、営業収益がJグランドの不動産事業の販売増で3.9倍の34億63百万円だが、営業利益が52.9%減の2億02百万円だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は営業収益が123億51百万円で営業利益が19億42百万円、第2四半期は営業収益が210億80百万円で営業利益が89億85百万円、第3四半期は営業収益が230億49百万円で営業利益が17億22百万円、第4四半期は営業収益が259億39百万円で営業利益が17億50百万円だった。

23年12月期連結業績予想(JTG証券の金融商品取引業を含まず)は、営業収益が22年12月期比39.5%増の1150億円、営業利益が41.0%減の85億円、税引前利益が47.0%減の90億円、そして親会社の所有者に帰属する当期利益が2.9%増の130億円としている。配当予想は22年12月期比4円増配の14円(第2四半期末1円、期末13円)としている。連続大幅増配予想である。

セグメント別営業利益の計画は、日本金融事業が46.6%増の57億64百万円、韓国およびモンゴル金融事業が14億32百万円の赤字(22年12月期は144億37百万円の黒字)、東南アジア金融事業が4億66百万円の赤字(同58百万円の黒字)、投資事業が22億13百万円の赤字(同22億05百万円の赤字)、その他事業が88億86百万円(同2億02百万円)としている。

日本金融事業は、保証事業における既存の信用保証残高からの安定的な保証料収益や、債権回収事業における大型債権購入による収益計上を見込んでいる。韓国およびモンゴル金融事業は、韓国の市中金利の高騰による調達金利の上昇、韓国全体における延滞増加、引当金積み増しを見込んでいる。対策として量の成長から質の成長への転換、徹底した延滞管理などを推進する。東南アジア金融事業は、金利上昇等に伴う調達コスト上昇などを見込んでいる。その他事業はミライノベート吸収合併(23年2月)に伴う負ののれん発生益を見込んでいる。なお23年12月期から不動産セグメントを新設予定である。不動産事業のさらなる拡大によって日本保証の信用保証残高の積み上げを目指す方針だ。

23年12月期は韓国における金利上昇影響などを考慮して営業減益予想(JTG証券の金融商品取引業を含まず)としている。ただし保守的な印象が強く上振れの可能性ありそうだ。さらに24年12月期以降は営業利益再拡大を計画(24年12月期110億円、25年12月期191億円)しており、中長期的に収益拡大基調が期待されるだろう。

■株価は目先的な売り一巡

株価は23年12月期営業減益予想を嫌気して急落の形となったが、目先的な売りが一巡し、積極的な株主還元策も評価して出直りを期待したい。2月16日の終値は506円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS97円01銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1004円59銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約744億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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