インフォマートは23年12月期2Q累計予想を上方修正、通期も上振れの可能性

(決算速報)
インフォマート<2492>(東証プライム)は4月28日取引時間終了後に23年12月期第1四半期連結業績を発表した。前年同期比では先行投資の影響で減益だったが、利用企業数が順調に増加して売上高が計画を上回る大幅増収となり、販管費も計画を下回ったため第2四半期累計予想を上方修正した。通期予想は据え置いたが上振れの可能性が高いだろう。積極投資の成果で中期的に収益拡大を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。上方修正を評価して出直りを期待したい。

■23年12月期1Q減益だが2Q累計予想を上方修正

23年12月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比17.8%増の30億16百万円、営業利益が9.6%減の1億66百万円、経常利益が12.1%減の1億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が10.4%減の98百万円だった。

前年同期比では、売上面は利用企業数増加に伴ってシステム利用料が順調に増加して大幅増収だが、利益面は先行投資で売上原価や販管費が増加したため減益だった。営業利益17百万円減益の要因分析は、BtoB-PF ES事業の売上増加+2億58百万円、BtoB-PF FOOD事業の売上増加+1億96百万円、データセンター費増加▲23百万円、ソフトウェア償却費増加▲1億05百万円、手数料等増加▲79百万円、人件費増加▲78百万円、販売促進費増加▲64百万円、その他販管費増加▲1億19百万円だった。

BtoB-PF FOOD事業の売上高は前年同期比10.9%増の20億03百万円だった。BtoBプラットフォーム受発注、受発注ライト、TANOMUの利用企業数が順調に増加し、フード業界の買い手企業(外食チェーン、ホテル、給食、テイクアウト・デリバリー等)および店舗からのシステム使用料売上が増加した。食材流通金額の増加に伴って売り手企業からの従量制システム使用料も増加した。

BtoB-PF ES事業の売上高は34.3%増の10億12百万円だった。BtoBプラットフォーム請求書は、企業のデジタル化推進、インボイス制度の開始と電子帳簿保存法改正に向けた顧客ニーズの高まりも背景として受取モデル・発行モデルの新規有料契約数が順調に増加した。大手企業を中心に稼働(請求書の電子データ化)が進展したことも寄与して大幅増収だった。

なお23年12月期第1四半期末時点の全社ベース利用企業数は22年12月期末比4.0%増の85万8673社、事業所数は4.3%増の159万1503事業所となった。

第1四半期が計画を上回ったため、第2四半期累計予想は4月28日付で上方修正して、売上高が前年同期比15.8%増の61億18百万円、営業利益が54.7%減の2億円、経常利益が60.4%減の1億63百万円、親会社株主帰属四半期純利益が56.1%減の1億20百万円とした。

前回予想に対して売上高を1億53百万円、営業利益を1億61百万円、経常利益を1億58百万円、親会社株主帰属四半期純利益を1億07百万円、それぞれ上方修正した。BtoB-PF FOOD事業、BtoB-PF ES事業とも売上高が前回予想を上回り、コスト面では費用発生の期ズレも寄与する見込みだ。

通期連結業績予想は据え置いて売上高が22年12月期比17.5%増の129億32百万円、営業利益が43.0%減の3億円、経常利益が53.4%減の2億16百万円、親会社株主帰属当期純利益が48.9%減の1億46百万円としている。配当予想も据え置いて22年12月期比26銭減配の46銭(第2四半期末23銭、期末23銭)としている。

売上高の計画はBtoB-PF FOOD事業が7.9%増の83億35百万円、BtoB-PF ES事業が40.2%増の45億96百万円としている。BtoB-PF FOOD事業は利用企業数増加や食材流通金額増加などを見込み、BtoB-PF ES事業はインボイス制度開始や電子帳簿保存法改正を背景に高成長を見込んでいる。

コスト面は売上原価が20.0%増の56億89百万円、販管費が21.0%増の69億42百万円の計画としている。売上原価ではサーバー増強に伴うデータセンター費の増加が一巡するが、新機能開発強化などで主にソフトウェア償却費が増加し、販管費では営業強化に伴う人件費の増加や認知度向上に向けたプロモーション活動に伴う販売促進費の増加を見込んでいる。

23年12月期は売上成長加速に向けた積極投資を継続するため減益予想としている。ただし通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が23.3%、営業利益が55.4%、経常利益が68.8%、親会社株主帰属当期純利益が67.5%だった。そして第2四半期累計予想を上方修正したことを勘案すれば、通期予想も上振れの可能性が高いだろう。外食産業における受発注の電子化、企業における請求書の電子化、インボイス制度開始などDX化ニーズを背景として、積極投資の成果で中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了

株価は安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。上方修正を評価して出直りを期待したい。4月28日の終値は290円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64銭で算出)は約453倍、今期予想配当利回り(会社予想の46銭で算出)は約0.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS49円59銭で算出)は約5.8倍、そして時価総額は約752億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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