日本郵船が風力推進装置「ヴェントフォイル」を搭載したばら積み船で効果検証、グループ初の取り組み

■海上輸送の脱炭素推進へ、実航海で効果検証

 日本郵船<9101>(東証プライム)グループのNYK Bulkship (Atlantic) N.V.(エヌワイケイバルクシップアトランティック、本社:ベルギー・アントワープ、以下「NBAtlantic社」)は、保有するばら積み船に当社グループとして初めて風力推進アシスト装置を導入し、Cargill, Incorporated.(カーギル、本社:米国)傘下のCargill International S.A.(カーギル・インターナショナル、本社:スイス、以下「カーギル・インターナショナル社」)との長期定期傭船契約に投入する。

 NBAtlantic社は、保有するばら積み船(以下「本船」)にEconowind B.V.(エコノウィンド社、本社:オランダ)社製の風力推進アシスト装置「VentoFoil」(ヴェントフォイル)を搭載する。これにより、本船が航行中に排出する温室効果ガス(GHG)の削減が見込まれる。NBAtlantic社は航海中の気象・海象や本装置が生み出すスラスト(推進)力などのデータを集め、カーギル・インターナショナル社と共同で効果計測を行う。

 「VentoFoil」は全長20フィート(約6メートル)のフラットラック(一部の壁や天井がないコンテナ)を土台に、船上に約16メートルの翼を立ち上げ、帆の役割を果たす装置である。飛行機の翼と同じように、翼の両面の気圧差で推進力を生み出る。翼に開けられた吸い込み口から風を取り込み、気圧差を増幅させてより強い推進力を得られる点が特徴である。同種の装置としては小型なため荷役の邪魔になりにくく、搭載や移設が容易である。

 この取り組みは同社が掲げる外航海運事業におけるGHG削減長期目標「2050年までのネット・ゼロエミッション達成」に向けた取り組みの一環である。同社グループは得られた知見を研究開発に活かし、風力の利用を含めたさまざまな省エネ技術に関する取り組みを推進する。

 日本郵船グループは、中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026-A Passion for Planetary Wellbeing-”を2023年3月10日に発表した。“Bringing value to life.”を企業理念とし、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創する」を掲げ、ESGを中核とした成長戦略を推進する。

 同取り組みは、同社における、海上、陸上、ターミナル等のモードを問わず、モノ運びを通じてGHG排出を低減し、顧客のサプライチェーンに還元していく取り組みを対象としたブランド「Sail GREEN」の一環である。

※主題の「当社グループ初」は、2023年7月24日現在、当社調べ。
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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