【編集長の視点】2014年相場の最後の直線勝負で「宿題銘柄」のNISA関連株にゴール前の末脚発揮を期待=浅妻昭治

編集長の視点

<マーケットセンサー>

大納会まできょう16日を含めてあと10営業日、2014年相場もいよいよ最終も最終、ゴール目前となってきた。競馬でいえば、最後の直線での勝負、鞍上の騎手が鞭を叩き合い白熱するところだが、株式相場の方も、「宿題相場」がヒートアップするはずである。1年間の総決算に当たりそれぞれが抱え込んだ「宿題」をどう処理するかによって相場の方向性や物色されるテーマ株が大きく影響されるということである。

12月14日投開票の衆議院選挙に圧勝し、「一強多弱」体制をキープした安倍晋三首相の「宿題」といえば、選挙の争点にもあげた「アベノミクス」の成長戦略「第3の矢」の具体策である。圧勝した翌日の15日の日経平均株価は、織り込み済みと評価されたうえに、前週末12日の欧米株安、さらに15日寄り付き前に発表された日銀短観の大企業製造業の景況感が、2期ぶりに前回調査を下回ったことも重なって334円安と急反落、24日の安倍3次内閣の発足、年末の来年度予算の編成、来年1月の通常国会開会を控えてお手並み拝見のムードとなっている。消費税再増税を先送りした1年半後まで時間は十分のようでも、この2年間より半年も短く、「経済優先」の即効政策を打ち出してデフレ景気から脱出できなければ、それこそ1年半半後に「アベノミクスの信任」を問われ追い詰められることになる。

18日から金融政策決定会合を迎える日銀の黒田東彦総裁の抱える宿題は、もっと難題だ。物価上昇率2%の目標達成をスローガンに掲げ、前回10月31日には、原油価格が急落したことを理由に追加金融緩和策(バズーカ2)を決定したが、原油先物(WTI)価格は、このときの1ドル=80.54ドルが、直近で57.81ドルまで急落し、世界的に「逆オイルショック」の様相を呈しているからだ。「バズーカ3」を発射させるのか、それとも物価目標2%の旗を下ろしてしまうのか、一挙手一投足、決定会合終了後の記者会見での発言トーンや眉の動かし方一つまでも注目されることになる。

株式市場でも「宿題」を抱え込んだ投資家は少なくない。その代表といえば、小額投資非課税制度(NISA)口座を設定した投資家だろう。証券優遇制度の廃止の見返りで鳴り物入りで今年1月からスタートし、うかうかと踊らされて高値掴みの株式で枠満杯となった投資家や、まだ設定枠を使い切っていない投資家などが千差万別となっているからだ。このなかで未使用枠は、金融庁の古い今年6月時点の調査資料で推定すると、口座設定が約727万口座、買い付け総額が、1兆5631億円となっており、1口座当たり上限の100万円を設定したとして利用比率は21%にとどまる。市場では、その後の利用状況を勘案してもなお50000億円~6000億円と推定されており、これが翌年まで持ち越せないため今月25日までに対処方針を決定しなければならない「宿題」となる。

この「宿題」の場合は、安倍首相や黒田総裁と異なってサポーターが次々と名乗りを上げてくれているのが救いではある。例えばキヤノン<7751>(東1)である。期末ギリギリの12月11日に期末配当の増配を発表、年間配当を150円としたが、これで配当利回りは3.79%のも達し、NISA口座での追加買い付けへのアピールとなった。また、イオン<8267>(東1)は、今年11月18日に長期・大口保有株主への優待制度の新設を発表したが、これも多分にNISAを意識したものと評価された。

NISAは、来年度税制改正でも「ジュニアNISA」の設定など非課税枠の拡大がほぼ本決まりとなっており、NISA関連の「宿題銘柄」をマーク、2014年相場の最終直線勝負でゴール前の末脚発揮を期待するのも一法というものである。(本紙編集長・浅妻昭治)

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