【編集長の視点】三協立山は小反落も業績伸び悩みを織り込み下げ過ぎ訂正の再騰トレンドが継続

 三協立山<5932>(東1)は、前週末8日に4円安の1647円と小反落して引けた。今年11月28日につけた中間配当の権利落ち安値1553円から100円超幅の底上げをしており、週末控えで目先の利益を確定する売り物に押された。ただ下値は、25日移動平均線でサポートされており、今2018年5月期業績や今期第1四半期(2017年6月~8月期、1Q)業績の伸び悩みは織り込み済みとして下げ過ぎ訂正トレンドが継続していることを示唆した。今年9月1日に「防火窓アルジオ」を新発売したことや、ネット通販関連の「宅配ボックス」を手掛けていることも、材料株人気の再燃期待を高めている。

■マテリアル事業は輸送・一般機械の好調需要を謳歌も新設住宅着工戸数減が響く

 同社が、今年10月5日に発表した今期1Q業績は、売り上げが前年同期比1.2%増と増収転換したものの、利益は、63.0%営業減益、17.8%経常減益、12.2%純益増益と伸び悩んで着地した。マテリアル事業では、輸送・一般機械分野の需要拡大を取り込み、アルミ地金市況とも連動して売り上げが増加し、セグメント利益も前年同期比43.3%増と伸び、建材事業でサッシや玄関ドアの基幹商品の提案営業や販売網強化を進めたが、同事業の売り上げが、戸建住宅市場の新設住宅着工戸数が0.5%減となったこともあって厳しい競合環境が続いたことで減収となりセグメント利益が損失となったことなどが要因となった。

 今2018年5月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ3380億円(前期比5.4%増)、営業利益43億円(同35.9%減)、経常利益40億円(同41.5%減)、純利益20億円(同5.8%減)と見込んでいる。配当は、年間35円(中間配当15円)を安定継続する。

 なお同社は、この1Qに新商品としてアルミ樹脂複合サッシ「アルジオ」に防火窓を追加して商品バリエーションを拡充したほか、玄関ドア「ファノーバ」でも、ドアを閉じたままでも風を取り込める業界初の採風機構付きの商品を開発してラインアップを充実させた。また、ネット通販の拡大で配達ドライバー不足となり政府が補助金を出して普及を図ろうとしている「宅配ボックス」についても、2012年5月から「フレムス」として発売し先行実績があるが、ハウスメーカーなどを対象に改めて商品説明会を開催した。

■PBRは0.6倍、配当利回りは2.1%と割り負け「半値戻しは全値戻し」が有望

 株価は、年初に「宅配ボックス」関連人気も加わって年初来高値1800円をつけ、前期業績の伸び悩みなどで下値を探り、北朝鮮絡みの地政学リスク懸念の波及で年初来安値1504円へ突っ込んだ。同安値からは、コクヨ<7984>(東1)のストア事業承継などを手掛かりに下げ過ぎとして底上げ、年初来高値から同安値までの調整幅の半値戻し水準までリバウンドした。PBRは0.6倍、配当利回りは2.12%となお下げ過ぎを示唆しており、テクニカル・セオリーの「半値戻しは全値戻し」を示現して年初来高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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