AGCは車載用全固体電池向け硫化物固体電解質の新生産技術開発に成功、事業化に向けて生産プロセスや品質を改善

■車載用全固体電池の性能向上に「多様な組成」で貢献

 AGC<5201>(東証プライム)は6日、車載用全固体電池に使われる硫化物固体電解質の量産に向けた、新たな生産技術の開発に成功したと発表。今後事業化に向け、生産プロセスや品質の改善を進めていくという。

 硫化物固体電解質は、イオン伝導率が高く、自動車の航続距離の延長や充電時間の短縮を実現することから、車載用全固体電池の有力材料とされている。ただし化学的に不安定で取り扱いが難しいため、これまで量産が極めて困難で、この点が車載全固体電池の実用化に向けた大きな障壁となってきた。

 AGCは、硫化物固体電解質の新たな生産技術として、ガラスと化学の技術を融合させた独自の溶融法を確立し、AGC横浜テクニカルセンターのパイロットラインにおいて技術的な実証に成功した。これにより、将来の量産を視野に入れたプロセスの下、従来の製法では難しかった多様な組成を高品質で作ることが可能になる。また同手法では、リチウム二次電池からリサイクルされた原料の利用が容易になることから、世の中の課題となっている使用済みリチウム二次電池のリサイクル問題解消にも貢献できると考えている。

 AGCグループは、中期経営計画 AGC plus-2023において、モビリティ事業を戦略事業と位置付けている。今回の開発により、車載用次世代電池として実用化が期待される全固体電池の普及に向けて大きな役割を果たすとともに、リサイクル原料の効率的活用によるサステナブルな社会の実現に貢献していくとしている。

【今回開発した独自の溶融法】

・従来の電解質合成法では、一度に取り扱える量に限界があることや反応に時間がかかることから、量産プロセス確立が大きな課題とされてきた。また均質性不足や不純物の影響で、電解質の性能改善に向けた取り組みに限界があった。

・AGC独自の溶融法は、ガラス量産技術をベースにして将来の量産を視野に入れたプロセスであり、ガラスのように均質で高品質な電解質を効率的に生産することを可能にする。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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