建設技術研究所は低コストでより広範囲の貯水位で機能を発揮できる新しい洪水吐き「サイホン放流設備」を共同開発

 建設技術研究所<9621>(東証プライム)は11日、一般財団法人ダム技術センター及び豊国工業株式会社と吐口制御によるサイホン放流設備の共同開発を行った(特許審査中:「ダムの洪水吐き装置」(出願番号2019-209304))と発表。これにより、これまで小規模流量(利水活用)に限定されていたサイホン放流設備は、大規模流量(治水利用)への適用が可能となった。

■背景

 近年の気候変動や洪水の激甚化により、ダムの治水機能増強の必要が高まっている。しかし、放流設備増設などのダム再開発工事(堤体削孔、トンネル洪水吐きなど)は、工事費が大きく、ダム運用に影響を及ぼすため、実現に向けてはダム本体を大幅に改造することなく、安価かつ効率的に治水放流能力を向上させることが課題となっていた。

■開発した技術の概要(サイホン放流設備)

 管の両端の水圧差(重力)を利用して管内に水を流す仕組みであるサイホン理論を活用した「吐口制御式サイホン放流設備」の技術開発を行った。

・吐口制御式サイホン放流設備」の技術的な特徴

 流況の乱れなどの水理的課題により流量規模の小さい利水放流設備への適用に限定されていた従来のサイホン放流設備を活用し、吐口部にゲート(吐口ゲート)を設置する。

 予め管内を充水することで、迅速なサイホン流の形成ならびに流況の安定化を実現し、流量規模の大きい治水放流設備(洪水吐き)に適用させる。

 この技術は、複雑な水理現象を有することから流況の乱れの要因となる空気連行や振動の要因となる負圧領域に着目して水理模型実験を行い、安全(負圧-3m以下)に放流できる条件を明らかにした。

■今後の展望

 今後は、同研究結果を踏まえて、「吐口制御式サイホン放流設備 検討要領(案)」を、2024年度を目途にとりまとめるとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■2025年のパン屋倒産が急減、SNS発信とインバウンドが追い風  帝国データバンクは11月29日…
  2. ■「働いて働いて──」が年間大賞!多様な社会現象を映すトップテン発表  自由国民社は12月1日、年…
  3. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る