巴工業は23年10月期3Q累計大幅営業・経常増益、通期は再上振れの可能性

(決算速報)
巴工業<6309>(東証プライム)は9月12日の取引時間終了後に23年10月期第3四半期累計連結業績を発表した。化学工業製品販売事業の好調が牽引して大幅営業・経常増益だった。通期予想(6月7日付で上方修正)を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率が順調であり、通期の会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値を更新する場面があったが、その後は利益確定売り優勢の形となって反落した。ただし1倍割れの低PBRも評価材料であり、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。

■23年10月期3Q累計大幅営業・経常増益、通期は再上振れの可能性

23年10月期第3四半期累計(22年11月~23年7月)の連結業績は、売上高が前年同期比9.4%増の358億23百万円、営業利益が29.5%増の28億88百万円、経常利益が24.8%増の29億20百万円、親会社株主帰属四半期純利益が3.8%増の19億86百万円だった。

機械製造販売事業は販管費の増加で減益だったが、化学工業製品販売事業の好調が牽引した。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益43百万円、今期は為替差損52百万円)した。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の固定資産売却益4億60百万円が剥落した影響で小幅増益だった。

機械製造販売事業は、売上高が海外の伸長などで5.6%増の79億65百万円、営業利益が販管費増加の影響で42.5%減の2億35百万円だった。売上高の内訳は需要先別には官需が15.5%減の29億17百万円、民需が1.3%増の17億42百万円、海外が39.4%増の33億05百万円、製品別には機械が28.8%増の20億17百万円、装置・工事が15.2%減の7億15百万円、部品・修理が1.9%増の52億33百万円だった。

化学工業製品販売事業は、半導体製造用途の大幅伸長などで売上高が10.5%増の278億57百万円、営業利益が増収効果で45.6%増の26億53百万円だった。製品別売上高は合成樹脂関連が1.8%増の39億57百万円、工業材料関連が4.0%減の43億04百万円、鉱産関連が建材・自動車用途の増加で19.2%増の42億90百万円、化成品関連が塗料・インキ用途材料の増加で5.9%増の64億98百万円、機能材料関連が半導体製造用途の伸長で60.5%増の47億66百万円、電子材料関連が2.2%減の38億45百万円、その他(洋酒)が横ばいの1億95百万円だった。

四半期別にみると、第1四半期は売上高111億28百万円で営業利益5億58百万円、第2四半期は売上高130億27百万円で営業利益15億04百万円、第3四半期は売上高が116億68百万円で営業利益が8億26百万円だった。

通期連結業績予想(6月7日付で売上高を10億80百万円、営業利益を6億50百万円、経常利益を6億30百万円、親会社株主帰属当期純利益を3億90百万円、各々上方修正)は据え置いて、売上高が22年10月期比6.3%増の484億60百万円、営業利益が8.8%増の35億90百万円、経常利益が5.2%増の36億円、親会社株主帰属当期純利益が8.6%減の24億30百万円としている。配当予想(6月7日付で第2四半期末12円、期末12円各々上方修正して、年間合計では24円上方修正)も据え置いて、22年10月期比27円増配の80円(第2四半期末40円、期末40円)としている。予想配当性向は32.9%となる。

機械製造販売事業は一部案件繰延などの影響で期初計画(売上高が19.8%増の136億10百万円、営業利益が販管費の増加で2.6%減の8億80百万円)を下回る見込みだが、化学工業製品販売事業が機能材料関連の好調で期初計画(売上高が好調だった前期の反動で1.4%減の337億70百万円、営業利益が販管費増加も影響して14.1%減の20億60百万円)を上回る見込みだ。

第3四半期累計の進捗率は売上高74%、営業利益80%、経常利益81%、親会社株主帰属当期純利益82%と順調である。通期の会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は目先的な売りが一巡して上値試す

株価は上場来高値を更新する場面があったが、その後は利益確定売りが優勢の形となって反落した。ただし1倍割れの低PBRも評価材料であり、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。9月13日の終値は3010円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS243円53銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の80円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3446円27銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約317億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る