【注目銘柄】小糸製作所は業績上方修正の見直しに東北地方進出もオンし突っ込み打診買い一考余地

■業績はV字回復、東北進出も決定

 小糸製作所<7276>(東証プライム)は、前日14日に75円安の2340円と急続落して引けた。外資系証券が、投資判断と目標株価を引き下げたことで商い急増の逆行安となり、東証プライム市場の値下がり率ランキングの第27日と売られた。ただ同社株は、今年7月26日に今2024年3月期業績を上方修正し、V字回復を鮮明化させたときも株価は限定的な反応にとどまり、今年6月15日につけた株式分割の権利落ち後の高値2866円からの調整を続けてきており、14日の急落がダメ押しのダメ押しとなる可能性もあり、突っ込み場面の打診買いも一考余地がありそうだ。業績上方修正に続き、東北地方への進出を発表し、国内5番目の工場を建設することも、「KOITO VISION」で掲げている2030年度経営目標を達成する積極政策としてサポート材料となることも見込まれる。

■日本、米国、アジアの自動車生産が堅調に推移しグループあげての合理化も寄与

 同社の今3月期通期業績は、今期第1四半期(2023年4月~6月期、1Q)決算発表時に第2四半期(2023年4月~9月期、2Q)累計業績とともに上方修正された。期初予想より売り上げを70億円、営業利益を25億円、経常利益を50億円、純利益を70億円それぞれ引き上げ、売り上げ9340億円(前期比8.0%増)、営業利益670億円(同43.0%増)、経常利益725億円(同49.4%増)、純利益490億円(同65.2%増)と見込み、V字回復を鮮明化させる。自動車生産が、中国で日系車の販売不振、シェア低下が続いているが、半導体不足による自動車減産の影響は徐々に縮小し、日本、米国、アジアでの生産が堅調に推移し、グループ上げて改善合理化に取り組んだことが要因となった。ただし通期業績の上方修正幅は、2Q累計業績の上方修正額を期初予想の通期業績に上乗せしただけにとどめており、今後の自動車生産や為替動向次第では、なお業績再上ぶれの可能性を残している。

 一方、東北地方への進出は、東北地方の自動車生産に対応するとともに、災害時のリスク分散をも目的に宮城県名取市の愛島西部工業団地内に工場用地を取得するもので、2027年3月期に稼働開始を予定し自動車用ヘッドランプとリアコンビネーションランプをそれぞれ年間50万台生産することを計画している。投資金額は現在、精査中としているが、100億円規模と観測されている。同社の「KOITO VISION」では、2030年度まで売り上げは年率5%の成長、同時点の連結営業利益率は10%以上が目標となっており、新工場が大きな戦力となることが見込まれる。

■ダメ押しのダメ押しの安値から「リターン・リバーサル」展開も想定

 株価は、業績の下方修正続きだった前期から今期業績が増収増益転換と予想したことを好感して2022年9月30日を基準日にした株式分割(1株を2株に分割)の権利落ち後高値2866円まで400円超高して2600円台で一進一退となっていたところで今期業績が上方修正されたが、上方修正業績が市場コンセンサスを下回ったことから材料出尽くし感を強めて2385円安値まで調整してダメ押しし、さらに外資系証券の投資判断・目標株価引き下げでダメ押しのダメ押しの急落となった。高値から約20%調整しPERは15.1倍、PBRは1.19倍とプライム市場平均を下回っているだけに、下げた株ほど良く戻るとする「リターン・リバーサル」展開も想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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