ティムコは23年11月期3Q累計大幅増益、通期上振れ余地

(決算速報)
 ティムコ<7501>(東証スタンダード)は、10月11日の取引時間終了後に23年11月期第3四半期累計業績(非連結)を発表した。フィッシング事業はやや苦戦したが、アウトドア事業の大幅伸長が牽引して大幅増益だった。そして通期の大幅営業・経常増益予想を据え置いた。需要回復や価格改定などの効果を勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は急伸してモミ合いから上放れの形となった。収益改善基調に加えて、1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■23年11月期3Q累計大幅増益、アウトドア事業が牽引

 23年11月期第3四半期累計(22年12月~23年8月)業績(非連結)は、売上高が前年同期比5.2%増の25億84百万円、営業利益が43.7%増の1億12百万円、経常利益が33.7%増の1億14百万円、四半期純利益が39.0%増の1億06百万円だった。なお特別利益に投資有価証券売却益20百万円を計上した。

 フィッシング事業はやや苦戦したが、アウトドア事業の大幅伸長が牽引して大幅増益だった。なお22年12月からフライ関連製品、ルアー関連製品、Foxfire関連製品(一部製品は23年2月から)の価格改定を実施している。

 フィッシング事業は売上高が9.2%減の7億55百万円で営業利益(全社費用等調整前)が11.5%減の1億28百万円だった。コロナ禍におけるアクティビティとしての需要が一段落し、価格改定に伴う買い控えや記録的猛暑に伴う釣行回数減少なども影響して全体的に販売が苦戦した。

 アウトドア事業は売上高が12.7%増の18億14百万円で営業利益が90.8%増の1億20百万円だった。百貨店やショッピングセンターなど商業施設への客足が回復し、透湿防水素材(ゴアテックス)を使用した軽量ジャケットや、防虫素材(スコーロン)を使用した商品などの販売が好調だった。利益面では増収効果に加えて、滞留商品の値引き販売の減少も寄与した。

 その他(主に不動産賃貸収入売上)は売上高が0.4%減の14百万円で営業利益が1.1%減の8百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億94百万円で営業利益が10百万円、第2四半期は売上高が10億20百万円で営業利益が1億15百万円、第3四半期は売上高が7億70百万円で営業利益が13百万円の損失だった。

 通期業績(非連結)予想は据え置いて売上高が22年11月期比6.1%増の34億90百万円、営業利益が31.8%増の1億49百万円、経常利益が26.7%増の1億51百万円、当期純利益が2.1%増の1億28百万円としている。配当予想は22年11月期と同額の12円(期末一括)としている。

 重点施策として、フィッシング事業ではキャンプ地など他のアウトドア・アクテビティとの融合により釣り人口の拡大を促すとともに、新製品投入やSNSプロモーションを活用した販売促進を強化して収益力向上を図る。アウトドア事業では、自社アウトドア衣料ブランド「フォックスファイヤー」の認知度向上と顧客数の増加を目指し、商品開発力の強化、直営店舗の事業効率化、SNSプロモーションの強化、Foxfire会員制度の本格稼働、セール品の縮小などにより収益力向上を図る。さらに、フィッシング事業とアウトドア事業の相互の有機的連携を強化して、総合力の向上を推進する方針だ。

 先行きの不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率は売上高74%、営業利益75%、経常利益75%、当期純利益83%と順調である。需要回復や価格改定などの効果を勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価はモミ合い上放れ

 株価急伸してモミ合いから上放れの形となった。収益改善基調に加えて、1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。10月11日の終値は830円、今期予想PER(会社予想のEPS51円94銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約1.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS1856円56銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約28億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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