住友林業とGEI、木質バイオマス化学品の研究開発で提携、木材のカスケード利用で脱炭素化に貢献

■木材コンビナートで木質バイオマス化学品の商用生産を目指す

 住友林業<1911>(東証プライム)とGreen Earth Institute(GEI)<9212>(東証グロース)は15日、木質バイオマスを原料としたバイオリファイナリー(※1)事業の推進で業務・資本提携契約を締結したと発表。両社は森林資源の用途拡大に向けて木質バイオマス化学品の研究開発に着手する。まず木材の成分分離技術を確立し、木材の新たな利用用途を開拓して木材を余すことなく使うカスケード利用を促進する。石油化学品からバイオマス化学品への転換を促すことで、CO2排出量を削減し社会全体の脱炭素化に貢献する。

※1. 植物や農作物などのバイオマスを原料に化学品や燃料を作り出す技術。石油化学に代わる技術として期待されている。

■協業内容

 木材の主成分の大半はセルロース、ヘミセルロース、リグニンの3つで構成され、木質バイオマス化学品の生産にはそれぞれの成分を分離する技術が求められる。木材の知見が豊富な住友林業とバイオマス化学品製造の知見を有するGEIは、研究開発を通して成分分離技術の確立と各成分の有効利用を含む新規事業の立上げを目指す。

 セルロース・ヘミセルロースはバイオプラスチックやバイオマス由来の航空燃料(以下、SAF)、食品、バイオゴムなどの原料となる。リグニンは高度な活用技術の商業化に向けて研究開発を進める。

■背景

 日本では戦後に植林した人工林が伐採適齢期を迎え約半分は樹齢50年を超える。木は高齢化するとCO2の吸収量が低下するため、伐採・再植林し森林の若返りを促しCO2の吸収量を増やすことが大切である。一方、木材自給率が4割に留まる国産材の活用を促すため、林業従事者から木材製造・加工業者、建築業者の全てが、事業収益を確保できる安定的な供給体制の構築が喫緊の課題である。

 日本政府は2019年5月「プラスチック資源循環戦略」を発表し、原料を石油に頼らないバイオプラスチックの普及を推し進め2030年までに約200万トン導入する計画を示している。また、従来の石油由来ジェット燃料と比べCO2の排出量を大幅に減らせるSAFについては2030年から国内航空会社の使用燃料の1割をSAFに置き換える目標を掲げている。2050年のSAFの国内市場は約2兆3000億円を見込んでいることから、今後バイオマス化学品の需要拡大が期待されている。

 木材を原料に化学品や燃料を作る木質バイオマス化学品の商用生産が確立できれば国内の森林資源の活用が進みCO2を含む温室効果ガスの削減につながる。今回、両社の戦略の方向性が一致し、お互いに企業価値の最大化が実現できるパートナーであると判断したため本提携に至った。

■両社の役割

 両社で本協業を確実に進めるためのプロジェクトチームを発足する。住友林業は筑波研究所で蓄積した木材に関する研究成果を提供し、GEIは研究・開発しているバイオリファイナリー技術を提供する。

 将来的には住友林業が設立の準備を進める木材コンビナート等でGEIが開発した生産性の高い菌体・生産プロセス※2を用いて木質バイオマスを原料とした化学品の商用生産を目指す。

※2. バイオマスを原料に微生物の力を使って化学品を生産する技術

 住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開している。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体の脱炭素に貢献することを目指している。

 設立の準備を進める木材コンビナートでは、木質バイオマス化学品の生産も含めた木材のカスケード利用を進めて国内の林業・木材製造を活性化する。石油由来から木質バイオマス由来の素材に代替を進めてCO2の排出量を減らし、炭素固定量を増やす新たな「ウッドサイクル」を構築する。

 GEIは、バイオマスを原料に微生物の力を使って化学品を生産するバイオリファイナリー分野のプラットフォームの構築を目指している。非可食バイオマスを有効に利用する技術の開発、高い生産性を有する菌体や生産プロセスの開発、事業化に向けたスケールアップなどに強みを有している。

 GEIは、このような強みを活かすことで、住友林業が目指す新たな「ウッドサイクル」の実現に貢献し、国内外で新たなバイオリファイナリー事業を生み出し、その拡大を図っていくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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