【編集長の視点】テラは業績減額を織り込み樹状細胞ワクチン療法の提携拡大をテコに反発

編集長の視点

テラ<2191>(JQS)は、12円高の815円と4営業日ぶりに反発して始まっている。同社株は、今年8月7日に今12月期の第2四半期(2Q)累計業績、通期業績を下方修正したことをキッカケに、世界同時株安も重なって年初来安値631円まで突っ込み、福島県立医科大学附属病院への樹状細胞ワクチン療法の技術・ノウハウ提供でストップ高を交えて988円高値まで急反発し、再度の下値確認となっていたが、9月16日には上尾中央総合病院(埼玉県上尾市)との連携契約締結を発表しており、新たながん免疫療法の開発進展を再評価してディフェンシブ関連のバイオ株買いが再燃している。提携拡大や共同開発開始などで株価がストップ高するなどの急伸特性の再現期待も、底流している。

■連携医療機関は38カ所に伸び新規がん抗原も導入拡大

同社の今12月期2Q累計・通期業績は、樹状細胞ワクチン療法の治療技術・ノウハウを医療機関に提供する細胞医療事業で、症例数が伸び悩み、医療支援事業でも細胞培養関連装置販売などの新規受注が、一部来期にずれ込み、医薬品事業では、がん治療用再生医療等製品として膵臓がんの薬事承認取得に向けて開発コストが増加することなどを要因に下方修正された。このうち12月通期業績は、売り上げを期初予想より2億7500万円、経常利益を3億5800万円、純利益を3億4500万円それぞれ引き下げ、純利益は、7億2600万円の赤字(前期は4億200万円の赤字)となる。

ただ細胞医療事業は、2Qで樹状細胞ワクチン療法の症例数が約290症例となり、同社設立以来の累計で約9500症例となり、新規がん抗原の使用が開始されたことで2Q売り上げが前年同期比0.3%増となり、営業損失も前年同期の9530万円から9000万円に改善した。また第3四半期以降も、新規がん抗原の導入拡大で使用料の増加が見込めるなど、今回の業績下方修正が、同社の成長可能性を示唆する前向きの業績修正の側面を持っている。

これを裏付けたのが、福島県立医科大学附属病院、上尾中央総合病院などへの相次ぐ同社技術・ノウハウの提供で、上尾中央総合病院との契約締結で同社の連携医療機関は19カ所、契約医療機関は全国で38カ所に伸びた。また、今年7月には、iPS細胞由来の樹状細胞の樹立に関する共同研究を東京慈恵会医科大学悪性腫瘍治療研究部と開始し、さらに膵臓がん向け治療薬についても、昨年11月に施行された再生医療関連法に基づき治験開始を2016年にも予定していることなどの好材料も相次いでいる。

■急伸幅の半値押し水準から25日線をクリアし一段の戻りにトライ

株価は、今期業績の下方修正では小幅安にとどまったものの、世界同時株安の直撃で年初来安値631円まで516円安、45%の急落となり、福島県立医科大学附属病院との連携契約でこの急落幅の3分の2戻し水準までリバウンドした。足元は、リバウンド幅の半値押し水準まで再調整したが、約4%超のマイナスかい離となっている25日移動平均線をクリアして、急伸特性を発揮し一段の戻りに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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