【帝国データバンク調べ】老舗企業の倒産が急増、年上半期過去最多の74件

■伝統産業も苦境、後継者難や物価高が直撃

 帝国データバンクは、2024年上半期における100年以上の歴史を持つ老舗企業の倒産動向調査の結果を発表した。発表によると、今年上半期(1月から6月)に倒産した老舗企業の件数は74件に達し、前年同期の38件から約2倍に増加した。これは統計開始以来の最多記録であり、日本の老舗企業における安定感が揺らいでいることを示している。

 業種別の内訳では、製造業が22件で最も多く、小売業が21件でこれに次いだ。清酒製造や生菓子製造などの伝統的な産業も含まれており、日本の伝統的な業種が倒産の波に飲まれていることが浮き彫りになった。その他の業種では、建設業が8件、卸売業が11件、サービス業が6件、その他が6件であった。

 倒産の要因としては、物価高騰による収益悪化や後継者不在が挙げられている。実際に、物価高倒産が14件、後継者難倒産が11件確認されており、伝統を持つ老舗企業であっても厳しい経済情勢の影響を受けている。また、コンプライアンス違反による倒産も見られ、信用力の高い老舗企業であっても不正行為が発覚した場合には即座に倒産に至るリスクが存在することが示された。

■2024年上半期 主な老舗倒産事例

 2024年上半期、広島県の食品スーパー三谷屋が破産した。同社は1858年創業の地元密着型スーパーであったが、人口減少や競合激化により4期連続赤字に陥り、最終的には物価高騰や光熱費上昇で資金繰りが悪化し、6月5日に破産開始決定となった。

 東京都の株式会社スポーツ玉澤も破産した。同社は1910年創業の野球用品販売会社で、人気の高い「TAMAZAWA」ブランドを展開していた。しかし、少子化や競合激化で売上が減少し、代表者の死去も重なり、2月7日に破産開始決定となった。

 東京都八王子の老舗和菓子店、株式会社青木万年堂も破産した。同社は1818年創業の和菓子店を引き継ぎ営業していたが、コロナ禍での営業縮小が直撃し、2023年秋に全店舗を閉鎖し、3月28日に破産開始決定となった。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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