【マーケットセンサー】師走相場、出足鈍し―リスクに揺れる投資心理

■「トランプ・トレード」の期待裏切る不確実性

 師走相場が幕を開けたが、先行きは決して楽観視できない状況だ。米国のトランプ次期大統領が就任前から貿易政策に関する強硬姿勢を示し、「トランプ・リスク」が市場心理を揺るがしている。SNSを活用した突然の政策表明は、予測不可能性を際立たせる結果となった。これにより、中国や北米諸国との貿易摩擦が激化する可能性が高まり、投資家は慎重姿勢を強めざるを得ない。

 半導体関連株が反発する一方で、為替市場では円高が進行している。日本銀行が月中に開催予定の金融政策決定会合で利上げを行うとの観測が強まり、円が一時1ドル=149円台を記録。これが株価の押し下げ要因として働く可能性が高い。米中間の関係悪化が市場に悪影響を及ぼす中、日本国内でも「日銀リスク」が一段と注目される状況となった。

 例年であれば、師走相場は個人投資家が短期売買で活発に動く月だ。「餅代稼ぎ」や「ミルク代稼ぎ」を目指し、「掉尾の一振」銘柄への期待が高まるタイミングである。しかし、今年は「トランプ・リスク」と「日銀リスク」が相場の不安要素としてのしかかる中、慎重な判断が求められる。痛いしっぺ返しを回避しながら、終わり良ければすべて良しとなる相場展開を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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