【マーケットセンサー】自己株式取得と自己株式消却の同時発表株にアプローチ

■勝負の速い即断即決の好需給株

 昨日5月15日の日経平均株価は、238円高の2万9626円と3日続伸して年初来高値を更新した。これは、決算発表がピークを迎え、相次いだ好決算や増配、自己株式取得、株式分割などの好材料に株価が素直に反応したためとされている。しかし、一方では、外国人投資家が需給相場を牽引したとの裏観測もある。

 東証の投資部門別売買状況では、4月は国内投資家が売り越し、海外投資家が買い越しとなった。国内投資家は、消去法的に日本株選好を強めているとされており、これは「黒い猫でも白い猫でも青い猫でも鼠を捕る猫がいい猫」とする例えそのもので、歓迎すべきことだ。

 国内投資家も買い敗けせずに消去法的に銘柄スクリーニングを進めなければならない。そこで注目すべきは、勝負の速い即断即決の好需給株の自己株式取得と自己株式消却を同時に発表した銘柄である。自己株式取得は、株主還元策の一角の資本政策であるとともに、自らが最後の買い手となる需要主体として買い出し、自社株価が割安であるとアピールするアナウンス効果もある。また、取得した自己株式を即消却すれば、資本効率がいっそう高まり、東証から強く要請されているPBR1倍割れの解消にも有効なツールとなる。

 この自己株式取得・消却銘柄は、消却予定日を区切って取得全株式を消却するか、自己株式取得とともにその以前に取得した自己株式を消却すると表明した銘柄で、自己完結型の好需給株となる。消却予定日を区切った銘柄では、取得期間が1カ月、2カ月、3カ月、あるいは6カ月など短期間になるケースが目立つ。また、取得上限金額を取得上限株式数で割り算をすると取得コストが導き出され、想定している取得価格が足元の株価水準より高い場合もある。

 今年年初から前週末まで、同時発表の自己株式取得・消却の好需給・割安株にアプローチし、買い先行となった海外投資家に追いつき、追い越そうとキャッチアップすることも一考の余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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