NEC・産総研・三井化学・オメガシミュレーション、大規模ボイラープラント運転支援AIの実証実験に成功

■熟練運転員の技術をAIが再現、スタートアップ時間を短縮

 NEC<6701>(東証プライム)、産総研、三井化学<4183>(東証プライム)、オメガシミュレーションは12月19日、化学プラントなどの大規模インフラの運転を支援する「プラント運転支援AI」とミラープラントを組み合わせたシステムを開発したと発表。三井化学大阪工場の大規模ボイラープラントにおける実証実験では、スタートアップ操作の支援に成功している。この技術により、これまで自動化が困難だった非定常状態の運転支援や、運転時間の短縮による原料・エネルギーの削減が期待できる。

 化学工場のボイラープラントは、工場全体に電力とスチームを供給する重要インフラである。定期修理後の迅速な運転再開が求められるが、温度や圧力が大きく変化する非定常状態での運転操作は高度な技術を要する。急激な加熱は設備損傷や安全性の低下につながる恐れがあり、定められた速度を守りながら効率的な操作を行う必要がある。また、24時間運転が主流のため、スタートアップの機会が限られており、熟練運転員の育成も課題となっている。

 開発された技術の特長は、非定常状態での運転コスト削減、安全操作の事前確認、予期せぬ変動への迅速な対応の3点である。オメガシミュレーションのダイナミックシミュレータを活用し、強化学習により運転方法をAIが学習する。また、ミラープラントと学習済みAIがオンラインで連携し、リアルタイムな運転予測を可能とする。さらに、レプリカモデルを用いたモデル予測制御により、豪雨や原料変動などの予期せぬ事態にも対応できる。4社は今後も技術開発を進め、化学プラントの運用効率化に貢献していく方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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