【注目銘柄】丹青社は株式売出しの需給悪化を織り込み期末の増配権利取りの打診買いも交錯し反発

 丹青社<9743>(東証プライム)は、前日16日に11円高の893円と変わらずを含めて8営業日ぶりに反発して引けた。同社株は、今年1月7日に株式売出しを発表し、需給悪化を嫌って株価が200円安と売られたが、前々日15日にはこの売出価格が855円に決定されたことから悪材料織り込み済みとして下げ過ぎ修正の打診買いが入った。もともと株式売出しに先立って、昨年12月13日には今2025年1月期第3四半期(2024年2月~10月期、3Q)決算の開示とともに、今1月期通期業績の上方修正と期末配当の増配を発表しており、期末接近とともに増配権利取りも意識されている。

■業績上方修正で増配し1月期決算会社の高配当ランキングでは第2位

 株式売出しは、取引金融機関から政策保有株の売却の意向を伝えられたことから実施するもので、売却株式数は、303万6900株と同社発行済み株式数の約6%となり、ほかにオーバーアロットメントして45万5500株も売出す。売出価格は、855円に決定され1月22日に受渡を予定している。これまで株式売出しを実施した銘柄では、売出し終了とともに株価が急騰するケースもあり、これを期待して打診買いも入った。

 一方、同社の今1月期業績は、期初予想より売り上げを90億円、営業利益、経常利益を10億円、純利益を8億円それぞれ引き上げ売り上げ920億円(前期比13.3%増)、営業利益50億円(同28.8%増)、経常利益51億円(同27.7%増)、純利益36億円(同29.9%増)と見込み、連続の増収増益率を伸ばす。ディスプレイ業界の事業環境は、個人消費の持ち直しを背景に企業の販促投資が上向いており、商業その他施設事業やチェーンストア事業などが好調に推移していることが要因となった。商業その他施設事業の3Qの受注高は、関西万博向けの新改装案件の増加なども加わって523億2500万円(前年同期比49.4%増)、売り上げは367億9800万円(同9.1%増)、セグメント利益は20億7400万円(同72.0%増)と大きく伸び業績上方修正に大きく寄与した。配当は、期末配当を期初予想の15円から25円に引き上げ、年間40円(前期実績30円)に増配を予定している。配当利回りは、4.47%となり、全市場ベースの1月期決算会社(7月期決算会社で中間配当実施予定会社を含む)の高配当利回りランキングでは、第2位にランクインする。

■4.47%に回る配当権利を取り底上げを待つのも一法

 株価は、今期第1四半期のV字回復・高利益進捗率を手掛かりに昨年来高値1068円まで買い進まれ、8月の全般相場急落時に782円安値へ突っ込み、リバウンドしたあと、今期第2四半期業績発表時には通期業績を期初予想の据え置きとしたことで再度、789円安値へ調整した。同安値からは、今期業績の上方修正と増配に反応して窓を開けて1027円まで急伸しが、株式売出し発表とともに窓を開けて879円まで急落した。配当利回りの4.47%はもちろん、PERも11.6倍と下げ過ぎを示唆しており、期末の配当権利を取り、底上げを待つ投資スタンスも有効となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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