「コンプライアンス違反」倒産が過去最多に、コロナ禍明けの反動と粉飾決算の増加

■税金関連、不正受給が急増、中堅企業まで影響広がる

 東京商工リサーチの調査によると、2024年の「コンプライアンス違反」倒産が過去最多を更新し、320件に達した。前年の192件から1.6倍増と大幅に増加し、コロナ禍前の2018年の224件を大きく上回る結果となった。特に、税金滞納などの「税金関連」が176件、雇用調整助成金などの「不正受給」が39件と、それぞれ大幅な増加を見せた。負債総額も3,790億6,400万円と増加し、負債10億円以上の倒産が39件と、中堅企業まで影響が広がっていることが示された。

■粉飾決算による倒産も増加、金融機関の融資姿勢に変化も

 コンプライアンス違反倒産の増加は、コロナ禍からの回復が遅れる中小企業の経営状況悪化に加え、支援策の終了・縮小が影響している。2023年には支援策終了・縮小に伴い、コンプライアンス違反倒産が192件に急増したが、2024年は滞納への徴収が厳格化し、「税金関連」が1.9倍増の176件に達するなど、全体を押し上げた。また、「粉飾決算」による倒産も20件と増加に転じ、金融機関の融資姿勢にも変化が生じる可能性も指摘されている。

■ビッグモーター問題も影響か、企業コンプライアンスの重要性増す

 2024年には、ビッグモーターによる不正修理問題も発生し、企業のコンプライアンスに対する社会の目が厳しくなっている。コンプライアンス違反は、企業業績だけでなく、企業としての信頼を失墜させる重大なリスクとして認識されるようになった。過剰債務と物価高に苦しむ企業が多い中、これまで覆い隠されていた問題点があぶり出され、コンプライアンス違反倒産がさらに増える可能性も高まっている。企業は、コンプライアンス遵守を経営の重要課題として捉え、適切な管理体制を構築・運用していく必要性が高まっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国内初、HVO51%混合燃料が建設現場で稼働  大成建設<1801>(東証プライム)とユーグレナ…
  2. ■従来の制作プロセスを刷新しAI時代の人材育成を推進  武蔵精密工業<7220>(東証プライム)は…
  3. ■高速道路で手放し運転が可能に、新開発「Honda SENSING 360+」がACCORDの運転支…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■5月訪日客数が過去最高、6月も好調持続の見込みで市場活況  足元のインバウンド需要は、好調に推移…
  2. ■インバウンド関連株は「トランプ関税」のリーチ圏外で小型割安株特性を発揮  「たかが1%、されど1…
  3. ■内需株に広がる「トランプ・ディール」回避の波  東京電力ホールディングス<9501>(東証プライ…
  4. ■日米関税交渉、7月9日に運命の日「90日猶予」迫る潮目  「三日、三月、三年」とは、潮目、変わり…
  5. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  6. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る