【デジタル変革の最前線】生成AIがもたらす劇的な生産性向上、大手企業が相次ぎ導入

■業務効率化や生産性向上で目覚ましい成果

 生成AIの導入が、日本の大手企業で加速している。パナソニックやセブンイレブン、三菱UFJ銀行など、業界を代表する企業が次々と導入に踏み切り、業務効率化や生産性向上で目覚ましい成果を上げている。その活用範囲は製造現場から商品開発、文書作成まで多岐にわたり、企業のデジタル変革を強力に推進する原動力となっている。

■製造、小売、金融まで幅広い業界で進むAI活用

 製造業では、パナソニックが電気シェーバーのモーター設計に生成AIを取り入れ、イノベーションを加速させている。同社パナソニック ホールディングス<6752>(東証プライム)は国内社員9万人向けにAIアシスタントサービス「PX-GPT」を展開。オムロン<6645>(東証プライム)も言語指示で動くロボットの開発に取り組むなど、製造現場での革新が進んでいる。

 小売業界での活用も目覚ましい。セブン&アイ・ホールディングス<3382>(東証プライム)のセブンイレブンは生成AIの活用により商品企画の期間を10分の1に短縮。市場ニーズへの即応体制を確立した。J.フロント リテイリング<3086>(東証プライム)傘下のパルコは広告制作のプロセスを大幅に効率化し、動画・ナレーション・音楽を全て生成AIで作成している。メルカリ<4385>(東証プライム)はAIアシスタントを導入し、売れやすい商品名や説明文の提案で顧客支援を強化している。

 金融分野では、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東証プライム)の三菱UFJ銀行がChatGPTを導入し、社内文書のドラフトや稟議書作成に活用。全体で月22時間の作業時間削減を実現した。横浜銀行も各種規定やマニュアルなど行内情報の照会に生成AIを活用し、業務効率化を図っている。

 その他の業界でも活用が広がっている。三井物産<8031>(東証プライム)は社内生成AI「MBK Private AI」を導入し、入札書解析業務で成果を上げ、セガサミーホールディングス<6460>(東証プライム)は自社製品画像を学習した画像生成AIでデザイン案を100倍に増やした。マンダム<4917>(東証プライム)は週40個のパッケージデザインを考案、サントリーは斬新なCM企画に活用するなど、創造性の向上にも貢献している。生成AIは、業務効率化からコスト削減、創造性の向上まで、企業に多面的な価値をもたらしている。

■日本企業の生成AI活用が加速、売上1,000億円以上の企業で導入率87.6%
 東証プライム上場企業における生成AI導入率は、2024年の調査で14.9%に達し、前年の10%から4.9ポイント上昇した。新たに103社が導入し、特に大規模企業や技術系企業での活用が顕著である。広範な企業調査では、全体の60.7%が業務に生成AIを利用し、売上1,000億円以上の企業では87.6%が導入済みと報告された。GMOインターネットグループ<9449>(東証プライム)のグループ全体での活用率は88.6%にも及ぶ。

■業務効率化が主目的、システム開発・マーケティング・営業部門で活用広がる

 生成AIの導入目的は「業務効率化」が中心で、経営層では「イノベーションの加速」も重視される。用途としては「社内用生成AI導入」が最多で、利用率が高い部署は「システム開発・ITサポート」(38.2%)、「マーケティング・広報」(33.6%)、「営業」(30.9%)である。業務内容では「文書作成」(47.7%)、「情報収集・リサーチ・分析」(40.6%)、「設計・デザイン・画像・動画作成」(30.3%)が上位を占め、企業の幅広い分野での活用が進んでいる。
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■全従業員にAI活用徹底、業務改革を本格化  LINEヤフー<4689>(東証プライム)は7月14…
  2. ■50年以上親しまれたかぜ薬が国内市場から姿を消す?  大正製薬は7月14日、塗るかぜ薬「ヴイック…
  3. ■鈴鹿8耐で新型CBコンセプト登場  ホンダ<7267>(東証プライム)は7月11日、大型ロードス…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  2. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  3. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  4. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  5. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  6. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る