【マーケットセンサー】東証基準未達でも魅力的な重複上場銘柄と再注目のふるさと納税関連株

【重複上場銘柄とふるさと納税関連株に見る割安な投資機会】

 米国景気の減速懸念など不透明な市場環境の中、意外にしぶとさを見せる重複上場銘柄に注目が集まっている。2023年以来25社を数えるこれらの銘柄は、その多くが東証スタンダード市場に属している。東証の上場基準には完全に合致していないものの、投資バリュー的には割安な銘柄が多く存在する点が特徴だ。さらに「元祖地方創生関連株」であるふるさと納税関連銘柄も再注目される可能性が高まっており、小規模ながらも特異性のある投資機会として期待が持てる。

■2023年以降25社を数える重複上場銘柄の投資採算性

 重複上場銘柄25銘柄の内訳を見ると、東証スタンダード市場から名証メイン市場への移行が17銘柄と最多を占めている。次いで東証グロース市場から名証メイン市場が3銘柄、東証プライム市場から名証メイン市場が2銘柄となっている。また福証本則市場への重複上場も見られ、東証プライム市場から1銘柄、東証スタンダード市場から2銘柄、東証グロース市場から1銘柄が移行している。特筆すべきは、福証本則市場と名証メイン市場へのダブルの重複上場も2銘柄含まれていることだ。これら銘柄の中でも投資採算的に割安な11銘柄はPERが5倍~14倍と低く、PBRも1倍を割る銘柄が多数存在する。中でもジェイエスエス<6074>(東証スタンダード)の配当利回りは4.1%と高水準だ。福証本則市場への重複上場銘柄では、LAホールディングス<2986>(東証グロース)が配当利回り4.97%、アクセスグループ・ホールディングス<7042>(東証スタンダード)が3.23%とこちらも魅力的な数字を示している。

 東証プライム市場からの重複上場銘柄も見逃せない。ユー・エム・シー・エレクトロニクス<6615>(東証プライム)は名証メイン市場への重複上場でPER8.43倍、PBR0.46倍、配当利回り3.19%と割安感がある。日鉄ソリューションズ<2327>(東証プライム市場)は東証プライム市場から名証メイン市場と福証本則市場の両方に重複上場しており、投資採算的には割高だが、今3月期業績を2回上方修正し配当も増配、積極的な中期経営計画も策定している点が評価できる。また注目すべきはネクストジェン<3842>(東証スタンダード)で、東証グロース市場から東証スタンダード市場への市場区分変更と同時に、名証メイン市場への重複上場を発表している。

■Amazon参入で変わるふるさと納税市場と関連銘柄の動向

 地方創生関連株も最近動きが活発化している。特にふるさと納税関連株と地域コミュニティ誌・紙発行株の値動きがやや強含みに転じている。この背景には、昨年12月に全国約1000の自治体が参画し、登録返礼品約30万を擁する「Amazonふるさと」納税のスタートや、今年10月に予定される仲介サイトによるポイント付与禁止がある。業界最大サイト「ふるさとチョイス」を運営するチェンジホールディングス<3962>(東証プライム)はPER11.25倍、「ふるなび」を展開し今秋に「ふるなびトラベル予約」サイトを追加予定のアイモバイル<6535>(東証プライム)はPER9.51倍、配当利回り5.34%と割安感がある。地域情報誌・コミュニティ紙発行株では、中広<2139>(東証スタンダード)、サイネックス<2376>(東証スタンダード)、タウンニュース社<2481>(東証スタンダード)がPER9倍~15倍と市場平均を下回る値ごろ感のある銘柄として注目される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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