【生成AI時代の幕開け】NECとシスコが拓く安全な未来、AIガバナンス強化でリスク軽減へ

■生成AIの進化と潜在リスク

 近年、AI技術は目覚ましい速さで進化しており、多くの企業や自治体が生成AIを活用した業務改革に乗り出している。この技術革新は、業務効率化や新たな価値創造の可能性を秘めている一方で、いくつかのリスクも顕在化させている。特に、事実に基づかない情報の生成、いわゆるハルシネーションや、著作権、プライバシー侵害などが大きな懸念事項として挙げられる。これらのリスクは、従来のサイバーセキュリティソリューションだけでは十分に対応できないのが現状だ。そのため、AIの公平性、透明性、そして安全性を確保するための、強固なAIガバナンス体制の構築が不可欠となっている。

■AIガバナンスサービスの全貌

 このような背景のもと、NEC<6701>(東証プライム)とシスコシステムズ合同会社は、日本企業や自治体が生成AIを安全に活用できる社会の実現を目指し、AIガバナンス分野で協業を開始する。この協業の核となるのが、NECが2025年秋から提供を開始する「NEC AIガバナンスサービス」だ。このサービスは、NECのコンサルティングサービスと、シスコが提供するAIセキュリティソリューション「Cisco AI Defense」を組み合わせたもので、金融、製造業、公共機関、自治体など、幅広い分野の顧客を対象としている。「Cisco AI Defense」は、AIの開発、展開、使用に伴うリスクに対応するために設計された、最先端のAIセキュリティソリューションだ。自動化されたアルゴリズムによる脆弱性テストや、モデル、アプリケーション全体に共通のランタイムセキュリティ層を備えており、顧客のAIガバナンスの取り組みを強力に支援する。

■両社の協業がもたらす価値

 NECは、2023年からシスコの一員となったRobust Intelligence社と、自社開発の生成AI「cotomi」のリスク評価に取り組んできた実績がある。また、2019年には「AIと人権に関するポリシー」を策定し、AIガバナンス基本規定やAIリスク管理マニュアルなどを整備するなど、AIリスク低減に積極的に取り組んできた。今回の協業では、シスコからの技術提供をもとに、NECが「Cisco AI Defense」の先行評価を2025年3月から開始し、同年秋からは、「Cisco AI Defense」を活用したコンサルティングサービスを提供する予定だ。両社は、Agentic AIの活用におけるリスクと対応策についても共同で検討を進めていく。この協業により、顧客は生成AIの潜在的なリスクを最小限に抑えつつ、そのメリットを最大限に享受できるようになるだろう。

■今後の展望

 NECとシスコは、日本企業や政府との連携を強化し、実際の活用事例に基づく検討と検証を重ねることで、AIを誰もが安全、安心に業務に活用できる社会の実現を目指す。この取り組みを通じて、日本の成長に貢献していくことが、両社の共通の目標だ。NECの山田昭雄Corporate SVPは、「安全・安心な生成AIの活用を推進すべく、シスコ様とAIガバナンス分野で協業できることを喜ばしく考えています。」と述べている。また、シスコシステムズ合同会社の濱田義之代表執行役員社長は、「日本のAI利活用を促進させるために、今後もNEC様との連携を強化し、AIセキュリティ・セーフティのリスクを解決し、安全・安心なAIサービスを提供してまいります。」と、今後の展望を語った。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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