【どう見るこの株】日本電技は中・長期経営計画目標の強気ガイダンスに期待

■業績・配当再増額で反転攻勢へ

 日本電技<1723>(東証スタンダード)は、前日7日に195円安の3175円と5営業日続落して引け、連日の株式分割の権利落ち後の安値更新となった。日経平均株価が、2644円安と史上3番目の下落幅となったことから、今年4月1日に株式分割権利落ち後高値4055円まで買い進まれていた同社株にも持ち高調整の売り物が続いた。ただ取引時間中の安値3065円から小戻して引けており、やや下げ渋った。同社株は、目下集計中の2025年3月期業績と配当がともに2回上方修正・増配され、再上方修正された営業利益が、中期経営計画(2027年3月期)や長期経営計画(2030年3月期)の目標業績を前倒しで達成し、新たな目標業績は今年5月7日の3月期決算発表時に公表するとしており、次期2026年3月期業績や、中・長期経営計画の目標業績の強気ガイダンスに期待して下げ過ぎ修正買いが交錯した。

■2025年3月期業績は経営計画の目標業績を2期、5期前倒しでクリア

 同社の中期経営計画、長期経営計画は、2021年6月、2024年5月に公表されたが、昨年11月の2025年3月期業績の1回目の上方修正とともに目標業績が上方修正され営業利益は2027年3月期に80億円、2030年3月期が90億円に引き上げられた。ただその3月期業績が、今年2月に再上方修正され売り上げ435億円(前期比11.8%増)、営業利益90億円(同44.0%増)、経常利益91億5000万円(同31.8%増)、純利益61億6000万円(同31.8%増)と見込んだことから、営業利益は、同目標業績をそれぞれ2期、5期前倒しでクリアすることからさらに目標業績を見直すこととなった。今年5月7日予定の3月期決算発表時に公表することにしている。空調計装事業では工場、教育施設向け、産業システム関連事業では搬送システム向けの計装工事や各種自動制御工事などが業績寄与度を高めており、2026年3月期業績や中・長期経営計画の目標業績への強気ガイダンスが期待される。

 また同社は株主還元策についても前向きで、昨年12月31日を基準日に株式分割(1対2)を実施したほか、資本政策の基本方針としてDOE(株主資本配当率)を4%から5%に引き上げたことに伴い、2025年3月期配当を2回増配した。業績ガイダンスとともに株主還元策の次期動向も注目されることになる。

■権利落ち後高値から21%超調整し相場格言の「二割、三割は向かう理と知れ」にトライも

 株価は、株式分割の権利を6770円落とし、落ち後の今年1月安値3320円から2025年3月期第3四半期の大幅増益業績に反応して窓を開けて落ち後高値4055円まで700円超高の急騰を演じた。足元では、世界同時株安に巻き込まれて大幅調整となったが、2025年3月期推定ベースのPERは8.2倍、PBRは0.7倍、25日移動平均線からは14.6%マイナスかい離し、とくに分割権利落ち後高値からは約21%超の調整と調整一巡感も示唆している。相場格言の「二割、三割は向かう理と知れ」の通り、高値から2割超の下落でトレンド転換する可能性もあり、戻りにトライする展開も想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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