【どう見るこの株】ZACROSは連続増益業績と連続増配を見直しバリュー株買いが再燃

どう見るこの株

 ZACROS<7917>(東証プライム)は、前日12日に15円高の3910円と反発して引けた。今年5月8日に発表した3月期決算で、今2026年3月期業績の連続増益と連続増配を予想し、前週末9日は予想業績が市場コンセンサスを下回るとして利益確定売りに押され反落したが、ただ下値は下ヒゲを伸ばし25日移動平均線で確認するなどを限定的にとどまったことから、この日は改めて今期予想純利益が、過去最高に急接近することを見直しバリュー株買いが再燃した。テクニカル的にも、今年3月の年初来高値4420円から年初来安値3455円までの調整幅の半値戻し水準で一進一退を続けており、相場格言の「半値戻しは全値戻し」へ再発進することも期待されている。

■今期純利益は過去最高にあと2億円弱と迫り配当は年間134円と連続増配

 今2026年3月期業績は、売り上げ1570億円(前期比4.2%増)、営業利益102億円(同0.8%増)、経常利益108億円(同4.2%増)、純利益75億円(同14.8%増)と続伸が予想されている。同社は、前2025年3月期から推進している中期経営計画で、2027年3月期までの3年間を積極投資による構造改革期と位置付け、2031年3月期までに計画している総投資額1100億円のうち700億円をこの3年間に集中的に投資する。このうちBioPhas事業では、バイオ医薬品の製造用シングルユースバッグやバイオ関連製品のオーダー加工のために三重事業所に新棟を建設し、世界シェアトップの液晶製造用の偏光板保護フィルムのプロテクトフィルムでは、業界初の3m幅の製造設備を沼田事業所に171億円投資して建設し、今年3月に経済産業省から40億円の補助金交付が決定されている。

 業績そのものは、この積極的な設備投資に伴う減価償却費負担などで3年間は強含み横ばい程度と見込み、今2026年3月期の予想利益も、市場予想を15億円~5000万円下回る。ただ純利益は、経産省からの交付補助金を約13億円織り込んで連続の2ケタ増益となり、市場コンセンサスにあと5000万円、2022年3月期の過去最高(76億9300万円)にあと2億円弱と迫る。前期業績と同様の期中の上ぶれ修正も期待される。配当は、前2025年3月期に創立110周年記念配当20円を上乗せして年間130円(前々期実績84円)へ大幅増配したが、今期は、配当性向を40%以上とする配当方針に従って普通配当として年間134円への連続増配を予定している。

■「半値戻しは全値戻し」をPER9倍、PBR0.7倍の割安修正がサポート

 株価は、今年2月に発表した前期第3四半期の高利益進捗率業績と自己株式取得に経済産業省の補助金交付決定が続いて年初来高値4420円まで買い進まれ、配当権利落ちに世界同時株安が重なって年初来安値3455円まで大幅調整した。同安値からは売られ過ぎとしてリバウンドし、年初来高値からの調整幅の半値戻しをクリアし高値固めを続けているところである。PERは9.6倍、PBRは0.78倍、配当利回りは3.42%と割安であり、相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに年初来高値奪回に再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ポケモンセンターヨコハマに続く2店舗目、地域活性化にも期待  丸井グループ<8252>(東証プラ…
  2. ■ベンチマークで高評価、企業向けLLMの新たな選択肢  リコー<7752>(東証プライム)は4月3…
  3. ■第1弾の渡航レポート公開、夢への挑戦を可視化  日本航空(JAL)<9201>(東証プライム)は…
2025年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

ピックアップ記事

  1. ■木徳神糧と三菱食品、逆行高の先駆けとなる動き  食料品の消費税減税関連株に新たな動きが見られる。…
  2. ■トランプ大統領「米国株は絶好の買い時」英国との関税合意後に発言  米国のトランプ大統領が、またま…
  3. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  4. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  5. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  6. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る