【マーケットセンサー】大阪・関西万博開幕:次世代技術が彩る投資チャンス

■脱炭素とデジタル革新:万博から広がるビジネスチャンス

 本日2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、多くの来場者で賑わいを見せている。さまざまな課題を乗り越えて開催に至った同万博では、最先端技術や世界各国の文化を体験できる多彩なパビリオンが注目を集めている。会場内では大手企業から中堅企業まで、未来社会の実現に向けた技術や構想を披露。単なる技術展示の場ではなく、SDGs達成や社会課題解決の「実証実験場」として位置づけられている点が特徴だ。万博に出展する主要企業の展示内容と、そこから見える投資機会について分析する。

■自動車・電機大手の最先端技術

 トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は完全自動運転車「e-Palette」の進化版を中心に、水素エンジン技術や障害者向けロボットアシスト技術を実演展示している。特に注目なのは「空中浮遊移動体」のコンセプトモデル初公開だ。パナソニック ホールディングス<6752>(東証プライム)のパビリオンでは、再生プラスチック建材と家庭用蓄電池「Evervolt」を組み合わせたゼロエミッション住宅が提案されている。NTT<9432>(東証プライム)は6G通信の実証実験や「IOWN構想」の体感コーナーを設置。全息投影(ホログラム)技術や触覚伝達技術「Haptic Vision」など、次世代通信基盤を活用したサービスを提示している。いずれも2026年以降の事業化を視野に入れた戦略的展示と言える。

■関西企業の独自技術と国際共同プロジェクト

 関西経済圏の企業も独自の強みを前面に打ち出している。大林組<1802>(東証プライム)はCLT(直交集成板)を用いた3階建てパビリオンを会場内に建設し、建設過程のCO2排出量を通常の40%削減した木造超高層建築技術をアピール。川崎重工業<7012>(東証プライム)は液化水素運搬船「SUISO FRONTIER」の模型展示に加え、水素燃料電池搭載の建設機械を実演している。

 また、国際共同プロジェクトも目立つ。三菱重工業<7011>(東証プライム)はノルウェー企業「Nel ASA」と共同開発した浮体式洋上風力発電と水電解装置を組み合わせたグリーン水素生産システムを初公開。ANAホールディングス<9202>(東証プライム)と日本航空<9201>(東証プライム)は航空業界のカーボンニュートラル化に向けた電動垂直離着陸機や微細藻類由来のバイオ燃料技術を展示している。

■SDGs実現に向けた環境技術とエンターテインメント

 SDGs達成に向けた先端技術も多数出展されている。積水化学工業<4204>(東証プライム)は海洋プラスチック再生プロジェクトとして、回収した漁網を原料とした住宅用断熱材「Neo-Ma」を発表。東レ<3402>(東証プライム)は人工光合成技術で二酸化炭素を原料としたポリエステル繊維「TORAY CO2NEX」を初披露し、ファッションショーとの連動企画も予定している。

 エンターテインメント分野ではソフトバンクグループ<9984>(東証プライム)がPepperの後継ロボット「SPHERE」を披露し、任天堂<7974>(東証プライム)とユニバーサル・スタジオ・ジャパンの協業による体感型ゲームパビリオンも人気を集めている。

■大阪・関西万博による直接経済効果は約2兆円

 関西経済研究所の推計によると、大阪・関西万博による直接経済効果は約2兆円。建設関連では鹿島<1812>(東証プライム)や清水建設<1803>(東証プライム)、観光分野では近鉄グループホールディングス<9041>(東証プライム)や阪急阪神ホールディングス<9042>(東証プライム)がビジネスチャンスを拡大している。

 今後、出展企業の技術が今後どの程度製品化され、収益に結びつくかに注目すべきだろう。特に水素関連やデジタルツイン技術は政策支援も期待できる成長分野として評価されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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