
■タンパク尿を51.2%減少、安全性も良好
大塚ホールディングス<4578>(東証プライム)の100%子会社である大塚製薬は6月6日、米国子会社OPDCと共同で開発を進めるIgA腎症治療薬「シベプレンリマブ」について、オーストリア・ウィーンで開催された欧州腎臓学会(ERA)にてフェーズ3(VISIONARY)試験の中間解析結果を発表した。投与開始から9ヵ月後、24時間尿中の尿蛋白/クレアチニン比(uPCR)は、プラセボ群と比較して51.2%の有意な減少を示した(P<0.0001)。この指標は腎不全進行の予測因子とされており、迅速承認の代替エンドポイントにも用いられている。安全性においても、シベプレンリマブ群での重篤な有害事象発生率は3.9%と低く、既存のデータと整合していた。
シベプレンリマブは、IgA腎症の発症要因のひとつであるサイトカイン「APRIL」の作用を選択的に阻害し、病態形成に関与する免疫複合体の形成や沈着を抑える作用機序を持つ。4週間ごとの皮下注射による自己投与が可能で、在宅治療という利便性を提供する。本年3月に米国食品医薬品局(FDA)へ生物製剤承認申請(BLA)を行い、5月には優先審査の指定を受けた。審査終了目標日(PDUFA date)は2025年11月28日と設定されており、承認されれば新たな治療の選択肢となる可能性がある。
同試験は、世界最大規模となる約530名の成人患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、標準治療を受けるIgA腎症患者に対してシベプレンリマブ400mgを4週ごとに投与し、有効性と安全性を評価している。主要評価項目は投与9ヵ月後のuPCR、副次評価項目は24ヵ月間のeGFR年間変化率である。試験は2026年初頭まで継続され、今後もさらなる解析が予定されている。免疫学的病因への直接的なアプローチを可能にする本薬の登場は、根治療法が存在しないIgA腎症治療の新時代を示唆している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)