ナス価格が2年で16%上昇、農業総研が販売データと現場の声を調査

■猛暑と資材高騰、ナス農家に重い負担

 農業総合研究所<3541>(東証グロース)は6月24日、2025年のナスの価格動向と収穫状況に関する調査結果を公表した。全国2,000店舗以上の「農家の直売所」の販売データや生産者のヒアリングから、5月のナスの平均出荷価格は211円で、前年同月比6%、一昨年同月比で16%の上昇を示した。背景には猛暑による収量減少と、肥料・光熱費・人件費などの資材コストの上昇がある。調査に協力した小清水農園(愛知県豊橋市)は、「気温上昇による樹勢の低下や品質劣化が価格上昇の一因」と指摘する。

■ハウス内45度超の猛暑、品質にも影響

 日本気象協会は2025年の夏も昨年に続き猛暑となる見通しを示しており、生産現場のビニールハウス内では日中45度を超えることもある。高温下ではナスの成長が止まり、実の変色や締まりの悪化、さらに秋以降の収穫量にも悪影響を及ぼす。こうした状況に対応するため、日光を遮る遮光材の導入などが進む一方で、各種資材費は過去数年と比較して2〜4倍に達しており、価格転嫁が十分に進んでいないのが現状である。

■小清水農園の高付加価値ナスが注目集める

 こうした逆風の中、小清水農園は味や見た目への徹底したこだわりで差別化を図る。「とげなし輝楽」は甘みとやわらかさ、艶が特徴の黒ナスでプロの料理人からも支持され、「とろ~り旨なす」は肉厚でとろけるような食感が人気の白ナスである。両品種は東海地方を中心に、百貨店や首都圏にも販路を拡大中だ。収穫から輸送までスポンジ付きコンテナを用い、傷がつかぬよう丁寧に取り扱う工夫も見られる。猛暑とコスト高の時代に、農家の創意工夫が生き残りの鍵を握っている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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