【株式市場特集】「九州シリコンアイランド相場2.0」到来か:半導体、地銀、インバウンドが牽引

■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる

 東京エレクトロンやアドバンテストなどの半導体大手の株価が上場来高値を更新し、日経平均をけん引する展開となった。背景には、エヌビディアとTSMCが好決算を発表し、それぞれ時価総額4兆ドル超と1兆ドル超に達したことがある。特にTSMCは、熊本第2工場を年内に着工する方針を明かし、地元経済や株式市場に「九州シリコンアイランド相場2.0」への期待をもたらした。今後は地銀やインバウンド関連など多様な銘柄群にも注目が集まりそうだ。

■年初来更新銘柄が牽引し周辺エリアに進出済み銘柄がフォロー

 半導体関連のハイテク株で3連休前の18日に年初来高値を更新した銘柄は、住友ベークライト<4203>(東証プライム)と荏原<6361>(東証プライム)である。このうち荏原は、昨年12月に竣工させた熊本事業所の新生産棟を今年6月に本格稼働させたばかりで6月2日には藤沢事業所の新開発棟を竣工させCMP(化学研磨)装置の生産能力と開発能力を強化する。同様に周辺エリアに新規進出したり関連工場の生産能力増強投資を行ったハイテク株をコード番号順にあげるとクラボウ<3106>(東証プライム)、SUMCO<3436>(東証プライム)、冨士フイルムホールディンググス<4901>(東証プライム)、テラプローブ<6627>(東証スタンダード)、インターアクション<7725>(東証プライム)、SCREENホールディングス<7735>(東証プライム)などと続きマークするところだろう。

 銀行株も、参議院選挙の争点の一つなった物価問題や足元で懸念されている円安・ドル高に絡んで長期金利が上昇して株高が進んでいるが、九州エリアを地盤とする地銀株でも、3連休前に年初来高値を更新する銘柄が目立った。大分銀行<8392>(東証プライム)、宮崎銀行<8393>(東証プライム)、佐賀銀行<8395>(東証プライム)の3行で、このほか九州フィナンシャルグループ<7180>(東証プライム)、西日本フィナンシャルホールディングス<7189>(東証プライム)、ふくおかフィナンシャルグループ<8354>(東証プライム)も低PER・PBR・高配当利回り水準にある。さらに割り負けているのが筑邦銀行<8398>(福証)、南日本銀行<8554>(福証)、宮崎太陽銀行<8560>(福証)の福証単独上場行で、宮崎太陽銀行は、全市場・全銘柄ベースの低PERランキングでは0.17倍で第3位、低PBRランキングでは4.58倍で第31位にランクインする。

■福証単独上場銘柄の穴株相場と大型公益株の本命相場の二本立ても

 地銀株以外の福証単独上場銘柄でも、3連休前に年初来高値を更新する銘柄が続いた。工事現場用の安全機材の販売・レンタルのグリーンクロスホールディングス<272A>(福証)、郊外型ビジネスモデルのアメイズ<6076>(福証)、不動産の巡回管理システムのパパネッツ<9388>(福証Q)で、それにもかかわらずPERは8倍~12倍となお上値余地を示唆している。同じように九州エリアを地盤とする小型株にも割安放置のバリュー株が多く、昭和鉄工<5953>(福証)、協立エアテック<5997>(東証スタンダード)、西部電機<6144>(東証スタンダード)、南陽<7417>(東証スタンダード)などが穴株として要注目となる。

 TSMC進出に九州新幹線の延伸開業によるインバウンド需要も加わって公益事業株も、主役銘柄人気がより高まる展開も想定される。西日本鉄道<9031>(東証プライム)、JR九州<9142>(東証プライム)、スターフライヤー<9206>(東証スタンダード)、九州電力<9508>(東証プライム)などで、データセンター向け送電線工事の九電工<1959>(東証プライム)も外せない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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