清水建設、山岳トンネル自動化システムの要素技術開発を完了

■北海道・大分のトンネル工事で初適用、省人化と安全性向上を狙う

 清水建設<1803>(東証プライム)は8月8日、山岳トンネル現場のオートメーション化を目的とした次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の要素技術開発が完了したと発表した。同社は今後、国内の現場へ順次適用を進め、初弾として北海道縦貫自動車道大沼トンネル峠下工区工事や大分県の日田山国1号トンネル本坑1工区などで施工条件に合わせた技術を導入する。背景には、建設業界における高齢化や熟練作業員減少による担い手不足があり、省人化・省力化による生産性向上が喫緊の課題となっている。特に山岳トンネルでは、岩盤剥落や坑内での接触事故などの災害リスク低減のため、国土交通省が推進する「i-Construction2.0」に沿ったオートメーション化が求められている。

 シミズ・スマート・トンネルは、「施工のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」という3本柱を統合したシステムである。施工の自動化では、穿孔・発破やコンクリート吹付け、鋼製支保工建込み、ロックボルト打設、覆工コンクリート打設など各工程に対応するロボットを開発。「BLAST MASTERⅡ」による穿孔差し角自動制御や最適発破パターン自動設計により、生産性と掘削品質を高める。施工管理では、AIがライブ映像から作業状況を判定し関係者に共有する「AIサイクル自動判定システム」や、振動可視化レーダーによる切羽全面監視システムを活用し、経験に依存しない客観的判断を可能にする。

 データ連携面では、調査から維持管理までの各工程で関係者がデータをシームレスに共有できるDXシステムを導入。施工リスク自動評価や可視化に加え、CO2排出量などの環境データも統合し、設計・施工段階での削減策検討や即時評価が可能となる。設計変更による排出量の変化を即座に算出できるため、受発注者間の協議を迅速化できる。同社は、これらの技術を通じて現場の安全性と生産性向上を図り、建設業界が直面する人手不足や安全確保の課題解決に貢献する方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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