NEC、光ファイバで突発渋滞を高精度予測する技術を開発、予測誤差80%低減を実現

■通信用光ファイバをセンサ活用、リアルタイム交通流データで独自AIモデル構築

 NEC<6701>(東証プライム)は8月22日、既設の通信用光ファイバをセンサとして活用し、道路全線の交通状況をリアルタイムに把握して突発的な渋滞を高精度に予測する技術を開発したと発表した。同社は光ファイバセンシングと独自AIモデルを組み合わせ、旅行時間の予測誤差を従来比で約80%低減することに成功した。この仕組みは、従来のカメラやETC2.0データが抱える設置コストやリアルタイム性の課題を克服するもので、物流2024年問題やCO2削減といった社会課題解決への寄与が期待されている。

 技術の中核は、リアルタイム交通流データを精度良くシミュレーションに適用するための新規アルゴリズムである。車両挙動を再現するモデルパラメータの最適化や、平均速度データを車両単位の位置・速度データに変換するデータ適合手法を組み合わせ、シミュレーション精度を向上させた。これにより、渋滞発生直後から解消までの拡大・収束過程を現実に即して予測可能となり、効果的な交通制御や迂回路設定に活用できる。実証では中日本高速道路のデータを用いて有効性を確認し、予測誤差削減の成果を検証した。

 NECは今後、動的な道路デジタルツインの実現を目指し、道路管理者と連携しながら2026年度までの実用化を進める。既に国内学会で研究成果を発表しており、2025年に米国アトランタで開かれるITS世界会議でも高速道路の交通流監視高度化に関する論文を発表予定である。本技術が実用化されれば、安全性向上、物流効率化、環境負荷低減といった多面的な社会的効果が見込まれる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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