日東紡が急騰、福島でガラスクロス生産増強へ、AIサーバー需要急拡大に対応

■AIサーバー向け半導体パッケージ基板の需要拡大を背景に設備投資

 日東紡<3110>(東証プライム)は9月1日、430円高(7.96%高)の5830円(9時13分)まで上げて急反発している。同社は8月29日、福島事業センター内にガラスクロスの生産設備を増設すると発表した。生成AIの急速な普及に伴い、AIサーバーの高性能化と市場拡大が進む中、同社の低誘電ガラスクロスやTガラスクロスがスイッチ用マザーボードや先端パッケージ基板に採用され需要が急増した。特に半導体パッケージの大型化に伴う熱膨張や反りの課題解決策としてTガラスクロスが評価され、採用拡大が続いていることから、生産能力強化を決断した。

 今回の投資は約150億円で、2026年度第4四半期に生産開始を予定する。新工場棟は福島市内に建設され、延床面積1万7,212平方メートル、鉄骨造地上2階建てで、2025年10月に着工、2026年12月に竣工予定だ。本投資は経済産業大臣から「供給確保計画」として認定され、最大約24億円の助成金交付を受ける見込みであり、福島県の補助金制度にも採択された。これにより生産能力は現行の3倍規模に拡大可能となり、国家の経済安全保障と地域経済の活性化に資する計画とされた。

 同社は2017年度以降、高付加価値品のスペシャルガラスに注力し、台湾工場建設や溶融炉増設を通じて生産体制を拡充してきた。さらに2024年度から始まった中期経営計画では4年間で800億円の投資を掲げ、既に大半の意思決定を終えている。今後も中長期的な市場動向を踏まえつつ、柔軟かつ継続的に設備投資を実施し、電子材料分野で「グローバル・ニッチNo.1」の地位確立を目指すとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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