【編集長の視点】ホクリヨウは上場来高値を更新、業績上方修正・増配を手掛かりにバリュー株買い増勢

■過去最高益へ上方修正、鶏卵高値と飼料安が追い風に

 ホクリヨウ<1384>(東証スタンダード)は、前日2日に90円高の2204円と続伸して引け、取引時間中には2222円と買われ、今年8月25日につけた上場来高値2217円を更新した。同社株は、今年8月13日の今2026年3月期第1四半期(2025年4月~6月期、1Q)決算とともに、今期通期業績の上方修正と増配を発表しており、これを手掛かりにバリュー株買いが増勢となっている。業績上方修正は、鳥インフルエンザの後遺症による鶏卵価格の高騰を要因としているが、足元で記録的な猛暑日による鶏卵不足も懸念され鶏卵相場が高水準で推移しており、業績再上ぶれ期待も先取りされている。

■鶏卵相場の上昇が続き主原料の配合飼料価格も値下がり

 同社の今3月期業績は、期初予想より売り上げを6億円、営業利益を4億1000万円、経常利益を4億2000万円、純利益を4億1000万円それぞれ引き上げ、売り上げ235億円(前期比10.1%増)、営業利益30億5000万円(同36.1%増)、経常利益24億6000万円(同40.2%増)、純利益24億2000万円(同20.1%増)と見込み、純利益は、法人税調整額の計上一巡で減益転換としていたのが連続して過去最高を更新する。今年2月までに鳥インフルエンザの感染拡大で840羽の採卵鶏は殺処分され、この分の供給力が完全に回復せず需給が引き締まったまま推移しており、鶏卵相場が高値推移し、鶏卵原料の6割を占める配合飼料の価格が第1四半期、第2四半期と値下げされたことが要因となった。第1四半期の鶏卵相場は、北海道Mサイズが、1キロ=328円65銭と前年同期比110円38円高、東京Mサイズも同様に337円86銭と130円86銭高となり、飼料価格も1トン当たり400円値下がりをした。

 今期配当は、期初に50円(前期実績70円)と減配を予定したが、業績上方修正とともに配当性向30%を目安とする配当方針に従って70円に増配し、前期と横並びとする。足元では鳥インフルエンザの感染再燃はみられていないが、9月に入っても全国で記録的な猛暑が続き、鶏舎の気温上昇で採卵鶏の生産に影響が懸念されており、鶏卵不足などから鶏卵相場へ影響する可能性もある。9月2日の鶏卵相場では、東京Mサイズが341円の高値と上伸しており、この動向次第では業績の再上ぶれ期待も高まってくる。

■記録的な猛暑もフォローして上値にチャレンジしPER9倍の割安修正加速

 株価は、トランプ関税による世界同時株安時につけた1215円安値から鶏卵相場急騰で1736円と42%高し、その後は鳥インフルエンザの落ち着きとともに1300円台まで調整し中段もみ合いを続けてきたが、業績上方修正・増配とともに窓を開けて2217円高値まで急騰し、いったん2020円と下ぶれたあと上場来高値2222円と上値を伸ばした。ただPERは9.0倍と割安であり、記録的な猛暑による業績再上ぶれ期待も背景に一段の上値追いにチャレンジしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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