
■「3現2原」哲学のもと「エネルギー極少化」と「本質価値極大化」を追求
スズキ<7269>(東証プライム)は9月9日、10年先を見据えた「技術戦略2025」を発表した。同社は2月に公表した新中期経営計画で「生活に密着したインフラモビリティ」を目指す姿を掲げ、コーポレートスローガン「By Your Side」を設定していた。今回の戦略では、環境・エネルギー対応に加えて移動に関わる社会課題に取り組み、従来の「3現主義」に「原理・原則」を加えた「3現・2原」を軸とする技術哲学を示した。「エネルギー極少化」と「本質価値極大化」を両立させる「Right × Light Mobile Tech」を掲げ、軽量化技術、効率的な内燃機関やカーボンニュートラル燃料対応、バッテリーリーンな電動車の開発、ソフトウェア定義車両の導入、リサイクル設計の推進など多角的な技術開発を進める方針を示した。
具体的には、軽量かつ安全な車体「HEARTECT」を進化させ、過去モデルの研究や二輪・四輪連携により80㎏軽量化の目処を立て、目標である100㎏軽量化達成を目指している。また、ハイブリッドシステム「スーパーエネチャージ」の先行開発や、高効率エンジンの新開発を推進し、インドでは二輪車「GIXXER SF 250 FFV」の量産を開始した。さらに四輪車のE20燃料対応を進め、FFV搭載モデルを年度内に投入予定である。電動車では新型「e VITARA」を投入し、航続距離と先進性を両立したBEVを提供するほか、インド発表の電動スクーター「e-ACCESS」も各国展開を予定している。電装品分野では「SDVライト」として必要十分な機能を搭載する考えを示し、またリサイクル容易な設計や再生プラスチック導入を進めている。
カーボンニュートラルに向けた活動も拡充している。社員主体の「チームスズキCNチャレンジ」が鈴鹿8耐に参戦し、サステナブル素材や燃料を使用して挑戦を続けるほか、国連工業開発機関に採択されたバイオガス事業では2025年から順次稼働を開始し、CNG車燃料や有機肥料を通じて環境負荷低減や農村の所得向上に寄与する計画である。また「スズキ・スマートファクトリー」では製造工程の見える化や新塗装工場の省エネ化を進め、品質と生産性の両立を図っている。同社は技術戦略2025を通じ、持続可能なモビリティと地域社会への貢献を同時に実現していく構えを示した。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)